
ヨシの葉の折れ目を、昼の湿地でたどる
湿地の木道に沿って伸びたヨシの葉を、僕は折れ目の手前から順に目でたどっている。雨上がりの昼は空が白く、葉の表面には細かな水滴が残っていた。風は強くないのに、葉先だけが同じ方向へ少しずつ揺れる。揺れるたび、折れ目の位置が一枚ごとに違って見えた。
いちばん近い葉には、途中で細くねじれた線がある。傷というほど深くはなく、指で伸ばせば消えそうな跡でもない。僕はそこから先を急いで読もうとして、葉の先端まで見たあと、また根元のほうへ視線を戻した。こういう確認を二度するので、自然を見るのに僕はあまり向いていない。
木道の隙間には黒い水が見え、ヨシの影が途切れ途切れに落ちている。水面には波紋がなく、葉から落ちた雫だけが小さな円を作って、すぐに形を失った。その円を数えようとして一つ目でやめ、隣の葉の裏に残った水滴へ目を移す。裏側は表より白く、細い筋が何本も走っていた。
九月末の湿地は、夏の濃さを少し残しながら、葉の端に茶色を置き始めている。ヨシは古くから水辺の材料にも使われてきた、と聞いたことがあるけれど、今日はその話より、折れた部分の手触りを想像するほうへ考えが寄った。実際に触らず、靴の向きだけを葉に合わせる。
次の一枚は折れ目が低く、雨粒が線の中に細く溜まっていた。僕は木道の中央から少し身を傾け、葉の裏側が影に入るところまで見て、それから視線を折れ目の先へ移している。








