
窓枠からカーテンの端を外す夜
カーテンの端を窓枠の細い隙間から引き出しながら、僕は布の折り目を一本ずつ指でなぞっていた。夜の窓は外の明かりを薄く返していて、ガラスに部屋の輪郭が重なっている。端の部分だけが内側へ折れ、裾の縫い目が少し持ち上がっていた。指を置く場所を変えるたび、布の厚さが微妙に違って感じられる。
最初はそのまま引けば出ると思ったのに、二度引いても布が斜めに寄る。力を足す前に、窓枠のどちら側へ入り込んでいるのかを目で確かめた。左へ寄せると抜けそうで、実際には裾の小さな糸が金具の角に触れていた。僕は一度手を離し、カーテン全体の幅を見てから、端を少し持ち上げた。引っ張った跡がどこまで続いているかも、布を裏返さずに横から見た。
布の裏側には細かな埃がついていた。指先で払うと、白い糸くずが床へ落ちそうになり、落ちる前にもう一度つまむ。こういうものだけは妙に拾える。窓の外は雲の切れ目があるらしく、暗さが均一ではない。部屋の空気は昼より冷たく、開けていた隙間から湿った感じが入ってくる。糸くずを指に残したままにするのが嫌で、布を持つ指を一度入れ替えた。
端を斜め上へ動かし、今度は縫い目を傷めないようにゆっくり抜いた。カーテンは元の位置へ戻ったが、裾の一箇所だけ折れが残った。僕はそこを手のひらで押さえ、窓を閉める前に、布がまた枠へ入り込まない位置を探している。少し右へ寄せてはガラスとの隙間を覗き、もう一度裾の線を指で合わせてから、窓の留め具へ手を伸ばしかけた。








