
朝の軒先に揺れる緑の影
軒先の揺れる葉
五月の朝、東京の住宅街の軒下に立っている。目の前の木の葉が、弱い風に揺れているのに気づく。光は柔らかく、まだ日盛りの暑さには届いていない。白く塗られた壁に伸びる影は、不規則に揺れ、刻一刻と形を変えていく。手を伸ばせば届きそうな距離で、その動きを追う視線がわずかに泳ぐ。
時間の狭間で揺れ動く視線
足元の石畳にわずかに生えた苔を掬うように見ていたとき、ふいに遠くで聞こえた自転車の鈴の音が断続的に響く。沈黙に割り込むその音に、身体のひとつの部分がはっと緊張からゆるむのを感じる。影の揺れに集中していたはずの視線が一瞬だけ途切れ、また戻る。これは前にも見た光景のような気がして、なぜか少し胸の奥が重くなる。
思考の隙間にふと漏れる言葉
「もう少しだけ」と声にならない呟きを繰り返しながら、手をポケットから出して壁に触れる。ひんやりとした塗装の感触は冷たく、でも外気の湿度を含んで重みを帯びている。君はこの景色のどこにいるのだろうか、と問いかけてみるが、答えは風の中に溶けていく。軒先の緑の影はまだ揺れており、間の抜けたような静かさに、つい目を伏せてしまった。
皆さんは、こうした朝のわずかな揺らぎに何を見出すのだろう。ここで立ち止まる理由は、今も探している。








