
雨の朝、側溝の水面で拾う小さな音
雨の朝の足元
八時四分、駅へ向かう道のアスファルトはやわらかく光っていた。傘を開いた手元の布が、細かい雨粒を受けて小さく震える。歩くたび、靴底が濡れた線をなぞる音が短く途切れる。
側溝の水面を見ている
歩道の脇には側溝があり、そこから水が静かに流れている。水面には小さな泡と、流されてきた砂が輪になって広がっては消える。ほんの数秒で、何かが形を変えていくのが見える。立ち止まると、雨の匂いと一緒に、遠い車の気配よりも近い流れの律動が耳に残った。
信号までの短い距離なのに、濡れた金属のふちや、縁の苔みたいな影の濃さまで確かめてしまう。私の前を進む人の傘先が、同じ水面に一瞬だけ影を落とした。








