
電柱に刻まれた数字
交差点の端で立ち止まる。青信号を待つ振りをして、隣の電柱をじっくりと眺める。
番号札までの距離
電柱は私の身長より少し高い。番号札は目の高さよりやや上、約十センチ上方にある。首を後ろに反らすと、金属板が真上からの光を反射して一瞬白く光る。目を細めると、数字が浮かび上がる。
数字の形状
「14-2」の「1」は縦棒が一本、上部に短い横線が付いている。明朝体のようだが、横線の幅が狭く、かすれた部分がある。「4」は三角形の頂点が角ばっている。線の太さは一定で、ペンキの盛り上がりはほとんどない。おそらく型押しで印刷されたものだ。数字の間には小さな穴が二つ開いており、ビスで留められている。上のビスは錆びて頭が丸くなっている。
経年劣化
白い塗装は細かい網目状にひび割れ、ところどころ剥がれ落ちている。地の銀色はくすんで、灰色がかった色合いだ。金属の縁には赤茶けた錆が点々と付いている。ネジの頭も錆びて、プラス溝が浅くなっている。私の影がちょうど番号札の下半分を覆っていて、影の輪郭が数字「2」の曲線と重なる。そのせいで「2」が半分隠れ、ちぎれたように見える。
周囲の気配
信号が変わった。人々が一斉に歩き出すが、私はまだ動かない。蝉の声が一層強くなったかと思うと、突然止む。湿度の高い空気が肌にまとわりつく。電柱の根元のアスファルトには、ガムの跡が黒く固まっている。すべてがこの夏の午前中に、ゆっくりと存在している。小さな番号札も、その一部だ。
私はようやく足を動かし、横断歩道を渡った。








