
換気扇の羽根
夜が深まるにつれて、部屋の空気が落ち着いてきた。天井の換気扇が音を立てずとも、かすかな回転音が耳に触れる。暗闇の中、羽根の輪郭がぼんやりと浮かぶ。その形は、静止しているときと同じだが、回転していることで曖昧になる。
羽根の輪郭
天井には、三枚の羽根が放射状に取り付けられている。それぞれが等しい角度で配置され、中心のモーターを介してゆっくりと回転する。街灯の光が窓から差し込み、羽根の表面を一瞬照らす。その光は羽根のエッジに沿って細い線を描き、やがて消える。この光と影の往復が、まるで機械の鼓動のように規則的だ。暗がりの中で、羽根はその存在を静かに主張している。時折、羽根の表面に小さな傷や埃が見える。それらが光を受けて、かすかに浮かび上がる。
風の通り道
換気扇は空気を外へ逃がす役割を担っている。手を差し上げると、弱い空気の流れが指の間を通り抜ける。この夜は湿度が高く、その風は少し重い感じがする。昼間に部屋にこもった熱が徐々に排気されていくのを想像する。羽根はその熱を攪拌せず、ただ一定の速度で回り続ける。風は真っ直ぐ上昇し、天井の排出口へと吸い込まれていく。その流れは目に見えないが、肌で感じ取れる。
影と音
壁に映る羽根の影は、回転するたびに形を変える。影は天井から壁へ、壁から床へと伸び、やがて消失する。この動きは非常にゆっくりだが、確かに空間を移動している。羽根自体はほとんど見えないが、その影が存在を教えてくれる。また、耳を澄ませば、モーターの低い唸りと、羽根が空気を切る微かな音が聞こえる。それは一定のリズムを刻み、部屋の静寂を壊すことなく、むしろ静けさを強調している。音の高さは変わらず、たゆたうように続く。
私はベッドに横たわり、それらの全てを感じている。羽根の回転、空気の流れ、影の動き、音のリズム。それらが一体となって、この夜の時間を形作っている。やがて、まぶたが重くなる。意識が薄れていく中で、換気扇の音だけが耳の奥に残る。








