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思考と技術の記録。besoft Blog

開発・設計・運用・プロダクトづくりのなかで得た知見を、読みやすくまとめて共有します。

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空いた電車の車内と窓からの朝の光

涼しい朝の通勤電車

昨夜は涼しくて、久しぶりに朝までぐっすり眠れた。目覚めた時、窓から入る風が少し冷たくて、夏だということを忘れそうだった。

駅に向かう道も、日陰はまだ涼しい。アスファルトの上を歩くと、草の匂いが混じった空気が顔を撫でる。ホームに着くと、電車がちょうど滑り込んできた。ドアが開くと、冷房の効いた空気が流れ出る。車内は空いていて、座席の半分以上が埋まっていない。窓際の席に腰掛けると、シートのひんやりとした感触が伝わってくる。布地は少し擦り切れているが、清掃は行き届いているようだ。冷房の風が首筋を冷やす。

窓の外では、線路沿いのマンションの影がゆっくりと後ろに流れていく。電車の揺れと、かすかなモーター音だけが聞こえる。誰もいない車両の奥まで、白い蛍光灯が並んでいる。ドアの上には次の駅の表示が出ている。車内放送がかすかに流れるが、はっきりとは聞き取れない。窓の外は晴れていて、遠くのビルが青空に浮かんでいるように見える。時々、カーブで車体が傾く。

新宿に近づくにつれ、徐々に乗客が増えてきた。それでもまだ席は余っている。今日は一週間の始まりだが、いつもよりゆっくりできそうだ。電車の速度が落ちる。次の駅のホームが見えてきた。ホームの端に立つ人のシルエットが徐々に大きくなる。何人かの乗客が立ち上がり、ドアの前に並び始めた。次の駅は新宿三丁目だとアナウンスが入る。私もそろそろ準備をしようと、リュックの口を閉めた。

朝顔の花言葉「愛情」真夏の朝の朝顔

朝顔の花言葉「愛情」—真夏の朝、蔓が絡むように咲く

七月も終わりに近づく朝、庭先の朝顔が次々と花を開いている。七時十五分を過ぎたばかりの光はまだ柔らかく、青い花びらに小さな露がきらめく。蔓は支柱にしっかりと絡み、幾重にも重なる葉の間から、涼しげな色がのぞく。風が吹くたび、葉が擦れ合うかすかな音が聞こえる。

朝顔はヒルガオ科の一年草で、原産地は熱帯アジア。日本には奈良時代に中国から渡来し、夏の風物詩として親しまれてきた。開花時期は七月から九月、早朝に咲き、昼にはしぼむ一日花だ。色は青や紫、赤、白と品種も豊富で、特に青い朝顔は夏の暑さを忘れさせる涼やかさがある。朝顔の種は硬い皮に覆われているため、一晩水に漬けてからまくのが一般的だ。

この花の花言葉は「愛情」と「絆」。つる性の植物が他のものに絡みながら成長することに由来する。朝顔は支柱を求めて蔓を伸ばし、しっかりと巻きついて離れない。その姿に、人と人との結びつきや、相手を思いやる心が重なるのだろう。また、一日でしぼむ短い命が、一瞬の輝きを大切にすることを教えているとも言われる。花言葉の「愛情」は、恋人同士の関係にも例えられることがある。

朝の水やりをしながら、つい足を止めて見入ってしまう。あと何度、この青い花を見られるだろうか。夏はまだ続くが、朝顔の季節は思ったより短い。毎朝の楽しみが、これほどささやかでありがたいものはない。

蔓はまだ伸び続けている。明日もまた、新しい花が咲く。蔓の先はまだ伸びようとしている。

夜のキッチン、グラスの水滴

夜のキッチン、グラスの水滴

夜のキッチンに立つ。蛍光灯の下、シンクの脇に置いたグラスに水滴がついている。さっきまで冷たい水を入れていたわけではない。洗ってからしばらく経ったのだろう。水滴はグラスの内側と外側、両方にびっしりと浮いている。

指で一本、縦に滑らせてみる。水滴が線になって流れ落ちた。跡を追うと、ガラスの表面に手の脂の跡が浮かび上がる。天気予報では湿度が九十五パーセントだった。その数字を思い出したからではない。指の腹にへばりつくような湿り気が、なぜかそのことを連れてくる。

グラスの縁を持ち上げて、水滴が光る角度を探す。蛍光灯の光が水滴の中で丸く縮んでいる。いくつかの水滴は大きくなって、重力で下に伸びている。もうすぐ落ちる。でもまだ落ちない。

シンクの中には食べ終わった皿が一枚だけ残っている。茶色いカレーの跡が固まっている。水に浸けておこうと思ったまま、忘れていた。その皿の底にも、水滴がついているのだろうか。確認しに行く気にはならない。

代わりに、グラスの底のほうに目をやる。一番大きな水滴が一筋、ゆっくりと下へ降りていく。途中で止まった。ガラスと水滴の境目がぎらっと光る。

換気扇は止めている。湿った空気が台所にじっとしている。自分もその中に立っている。

手に持ったグラスの温度が、自分の体温に近づいてきている。水滴の冷たさはもうない。

水滴の一つを指でつついてみる。すると別の水滴に吸い寄せられて、一瞬で形が変わった。その様子をしばらく見ていた。

そのままグラスを置いて、背を向ける。テーブルの上のリモコンが目に入る。押そうとしてやめた。

夜の浴室、換気扇の音

夜の浴室、換気扇の音

浴室の電気をつけた。蛍光灯が一瞬ちらついて、白い光が広がる。換気扇が回り始める音が聞こえる。低い唸りと、羽根が空気を切る細かい音が混ざっている。

タイルの壁は冷たく、指先で触ると表面に薄く水気が残っている。夕方に使ったあと、換気扇をつけっぱなしにしていた。それでも湿度が高いのか、鏡が少し曇っている。鏡の端のほうが特に白く霞んでいた。

排水口から、石鹸とぬるま湯が混ざった匂いが上がってくる。わずかに塩素の匂いも混じっている。換気扇の風が首のあたりを通る。風そのものは涼しいが、空気は重い。窓を開けると、外からもっと湿った夜の空気が入ってきた。道路を走る車の音が遠くで聞こえる。

洗面台の蛇口をひねると、一瞬管の中の水が音を立てて、透明な水が落ちた。水の流れる音が、換気扇の音と重なる。手を洗って、水滴が落ちるのを少し見ていた。

浴槽のふたを開けると、まだぬるい水が張ってあった。表面に湯気は立っていない。換気扇の音だけが続いている。そのままふたを閉めた。

夕方の歩道橋の上から見た交差点の景色

歩道橋の上から

歩道橋の上で立ち止まった。手すりに両手をついて、下の交差点を見下ろしている。信号が青に変わり、車が一斉に動き出す。エンジンの音と排気ガスの匂いが一緒に上がってくる。風がほとんどないので、匂いがその辺りに滞留している。向こう側の歩道では、学生が二人、自転車を押しながら話している。片方の自転車の前かごに、コンビニの白い袋が入っている。何を言っているかは聞こえない。

空はまだ明るくて、雲が一つだけ西の方に浮かんでいる。形はぼんやりとしている。ビルの影が道路に長く伸びていて、自分の立っている場所は日向だった。暑い。手すりの鉄が日差しを吸って温かい。指先で触ってみる。少しざらついていて、塗装が剥げた跡がある。何度か触っているうちに、指の腹が熱くなった。視線を外して、階段の方を見る。一段目に小さな枯れ葉が落ちていた。周りに落ち葉はなくて、それだけがぽつんとある。拾わないでそのままにした。

また交差点に目を戻す。今度は反対側から人が渡ってくる。白いシャツの男が傘を持っているが、開いていない。日差し避けなのか、ただの荷物なのか。男は早足で歩いていく。その後ろを、小さな犬を連れた女性が続く。犬は歩道橋の階段の匂いを嗅いでいる。立ち止まってリードを引っ張られた。風が弱く吹いて、汗ばんだ首筋に当たる。時計を見ると五時十分だった。もう少しここにいるつもりで、手すりから手を離さなかった。目線を上げると、電線に雀が二羽止まっている。何かを見ているようだった。

机の上に置かれたベルトファンが風を送っている様子。背景には窓からの日差しと書類。

ベルトファンの風、昼の部屋

窓の外は日差しが強く、午後一時の気温が三十度を超えているらしい。部屋の中はエアコンを入れているが、それでもじっとりとした暑さが残っている。机の上に置いたベルトファンのスイッチを入れると、細かな振動が指先に伝わってきた。

ベルト部分は黒い布地でできていて、折りたたんでスタンド代わりに机に立てかけている。風量は三段階あって、今は真ん中の強さだ。モーターの音は思ったより静かで、風が前髪を揺らすだけのひたむきさがある。机の上には書類が何枚か広がっていて、扇風機の風がその端をわずかに浮かせている。

充電ポートはUSB-Cで、ケーブルが机の縁から垂れている。ランプは青く光っている。底面にゴムの滑り止めがついているが、机の上では少しずつ位置がずれる。遠くで車の通る音が聞こえる。扇風機の首は固定で、向きを変えるには本体ごと回さなければならない。

机の上の温度計は三十一度を示している。湿度の数字は見ていないが、肌にまとわりつく空気の重さは感じる。ベルトファンの側面には電源ボタンと風量切り替えボタンが並んでいる。押すたびにカチッと小さな音がする。

画面を見続けていると、腕の皮膚に空気の流れが途切れる瞬間がある。風が直接当たっている場所と、そうでない場所の温度の違いがはっきりと分かる。外では蝉の声が聞こえる。風が途切れると、耳の裏が汗ばんでいるのに気づく。

木の幹に張り付いた蝉の抜け殻のクローズアップ

夏の昼の抜け殻

木の幹に手を伸ばす。指先に触れたのは蝉の抜け殻だった。背中が縦に割れていて、中は空洞だ。脚の先まで透けていて、だらりと垂れている。太陽の光が真上から当たっている。半透明の殻が金色に近い色に見える。手のひらに乗せると、風で倒れそうになる。左右に揺れた。親指と人指し指で挟み直す。軽い。何も入っていない。

隣の枝を見上げると、もうひとつあった。少し色が違う。片方はうすい茶色で、もう片方は黒っぽい。幹の凹凸に沿って、爪のように食い込んでいる。触ると、ぱりっとした音がした。割らないように注意しながら、ゆっくり引っ張る。鉤状の足が一本、幹に残った。そのままにしておく。

足元に目を落とすと、枯れた葉の間に落ちているものがあった。拾い上げると、古い抜け殻で、一部が欠けている。腕のあたりが欠けている。セミの抜け殻はいつも同じような形だ。手の甲に汗がにじむ。時計を見ると、正午を過ぎている。日陰を探して歩き出す。アスファルトの上を歩く。足音だけが続く。振り返ると、先ほどまで見ていた木はもう見えない。風が吹いて、首の後ろが冷たく感じた。立ち止まる。何かを忘れたような気がするが、思い出せない。また歩き出す。

日差しが強い。汗が首筋を伝う。蝉の声が一斉に鳴いている。抜け殻を手のひらで転がす。薄い膜が破れそうだ。幹の表面はざらついている。木の皮が剥がれかかっている。もう一度、枝を見上げる。葉の間から青空が見える。何秒かそのままでいた。手に持った抜け殻をどこに置こうか迷って、結局、幹の割れ目に挟んだ。また日陰を探し始める。

蝉の声が途切れる瞬間がある。その間、急に静かになる。また一斉に鳴き始める。抜け殻を置いた後、指にはかすかに粉がついていた。それをズボンで拭う。足を止めて、もう一度木を見る。幹の割れ目に挟んだ抜け殻は、風で少し動いている。それを見ている。また歩き出す。

男性がソファでスマホを見ている様子、扇風機と窓外の夏の光

昼時のてんこ盛り

昼時のてんこ盛り

スマホを開いたら、かつやの新作てんこ盛りどんぶりのニュースが目に入った。写真のとんかつは厚くて、キャベツが山盛りになっていた。値段は書いていなかった。エアコンのリモコンを手に取って、一度温度を下げた。窓の外から蝉の声が聞こえる。冷房の風が足元に当たって、冷えてきた。

腹は空いている。昨夜の冷やし中華が冷蔵庫にあるのを思い出したが、それも面倒だ。新作を食べに行くのも手だが、外は31度まで上がっていると天気予報で言っていた。玄関の鍵と財布をどこに置いたか忘れて、探すのが億劫だ。扇風機の首を手で少し右に向けた。強風が顔に当たる。ソファに座ったまま、スマホの画面をまた見ている。新作の記事の下には、同じくかつやの別のメニューの広告が出ていた。どれも写真は美味そうだが、今動く気になれない。スマホのバッテリーが気になるが、まだ見ている。

時計を見ると12時55分だった。立ち上がって窓の外を見た。隣の家の屋根の上で、陽炎が揺れている。道路をトラックが通った。エンジン音が部屋に響いて、すぐに消えた。冷蔵庫の冷気を思い出して、結局立ち上がった。冷蔵庫まで歩く。途中で扇風機のコードに足を引っかけた。冷蔵庫を開けると、冷気が顔に当たる。冷やし中華の容器が目に入る。弁当箱もあった。どれを食べるかはまだ決めていない。

正午の魚市場のにぎわい

正午の魚市場、潮の匂いと人の声

正午を過ぎた魚市場は、人の流れがまだ途切れない。屋根のない区画では太陽が照りつけ、アスファルトの熱気が足首から立ち上る。ぬれた床に反射する光がまぶしい。イワシの箱の前でしゃがみ込む中年の男が、指で魚の目玉を押して鮮度を確かめている。隣の台ではカツオが氷の上に並び、尾びれが少し乾いている。包丁がまな板を叩く乾いた音と、水が流れる音が混じる。ぬれた障子の向こうで、店の男が声を張り上げている。人がぶつかるたびに、半袖の腕が触れて汗が張り付く。どこからか漂ってくる焼き魚の煙が目にしみる。喉が渇いたが、自動販売機までたどり着くのに時間がかかりそうだ。冷蔵ケースのガラスの前に立つと、自分の顔と後ろの人のシルエットが重なって見える。トレーに並んだタイの切り身が蛍光灯の光を受けて、白く乾いた表面を見せている。手を伸ばしてエビのパックを取ろうとしたが、誰かの肘が脇腹に当たってやめた。スマートフォンを見ると12時8分。日曜日だからか、家族連れも多い。子供がしゃがみ込んで水槽のカニを指さしている。金網のゲージに活きたアワビがひっついている。カツオの台の横のバケツには、内臓が入っている。朝から何も食べていないことに気づく。

通路の真ん中で立ち止まり、左右を見る。どちらへ行くでもなく、ただ人の間をすり抜ける。壁際の水道の蛇口が少しだけ開いていて、水が垂れ続けている。水滴が床の水溜まりに落ちる音がかすかに聞こえる。どこかでアナウンスが流れているが、内容は聞き取れない。足を止めて耳を澄ませたが、ザワザワした声に消される。壁に貼られた値段表がはがれかけている。水道の水が一度止まり、また流れ出す。時々、乾いた氷が砕ける音がする。全体に湿気がまとわりつき、シャツが肌にはりついて離れない。足元にビニール袋が落ちているが、拾わない。知らない人の背中ばかり見ている。

正午の魚市場、人混みの中で立ち止まる後ろ姿

市場の人混み、正午の熱気

朝早く起きて魚市場へ向かった。海鮮を食べるつもりだった。着いたのは正午近く、すでに人でいっぱいだった。

入口から人の肩が見えた。通路の幅は狭く、前を歩く人の背中が近い。右側の店に並ぶ人、左側の店を覗き込む人、真ん中で立ち止まる人。どこを向いても誰かがいた。

氷の箱が足元に置いてあった。誰かの靴が箱の角を踏んでいた。氷が少し溶けて、地面に水が広がっていた。アスファルトが濡れて黒く光っていた。

陽が真上から差していた。影が短く、頭の真下にあった。首の後ろが熱くなった。風はほとんどなかった。誰かが団扇を使っていた。

人の声が重なって聞こえた。店の呼び込み、注文する声、笑い声。どれも遠くて近い。魚の匂いより人の気配のほうが強かった。

腹は空いていたが、何も食べなかった。人の間に立ったまま、どこかの店先を見ていた。

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