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思考と技術の記録。besoft Blog

開発・設計・運用・プロダクトづくりのなかで得た知見を、読みやすくまとめて共有します。

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朝の光が差し込む洗面所で、洗濯機の横から排水ホースを覗き込む様子

朝の洗濯機、排水ホースの継ぎ目

洗濯機の脱水音が止まった。扉を開けようとして、ふと排水ホースが気になった。いつもは見ない裏側。しゃがみ込んで覗いてみる。

灰色のプラスチックの継ぎ目が、ホースバンドで締められている。指で触ると、表面がざらついていた。人差し指で撫でてみると、細かい凹凸がある。これって劣化の始まりなんだろうか。親指でぐっと押してみたけど、まだ弾力は残っている。でも、端の方は少し白っぽくなっていて、粉を吹いたみたいだ。

そういえば、この洗濯機を買ってもう七年になる。家電の寿命って、だいたい十年くらいと聞いたことがある。排水ホースの交換時期も調べてみた。メーカーのサイトには「二、三年ごとの点検を」と書いてあった。へぇ、と声が出た。一度も交換したことがない。

ホースバンドのネジ部分を指でつまんでみる。錆びてはいないけど、少し緩んでいる気もする。ドライバーで締め直そうかと思って、工具箱を取りに行きかけたが、やめた。今すぐじゃなくてもいいか。

立ち上がって、洗濯物を取り出す。窓から入る朝の光が、濡れたシャツに当たってきらきらしている。排水口の方を見ると、まだ少し水が残っているようだった。継ぎ目から漏れているわけじゃなさそうだ。

まあ、次の休みにでもホームセンターに行って、新しいホースを見てこよう。そう思いながら、洗濯物を抱えてベランダへ向かった。

朝の光を受けるヒマワリの茎と手元

朝のヒマワリ、茎の産毛

庭に出たとき、ヒマワリの茎が傾いていた。支柱に結んだ麻紐が緩んでいる。茎に手を伸ばすと、表面の産毛が指先にざらついた。細かい毛が朝の光に白く浮かんでいる。親指と人差し指で挟むと、思ったより太い。力を入れずにそのまま上へ滑らせると、産毛の感触が途切れたり戻ったりした。

葉の付け根で指が止まる。葉の裏側が白っぽく、表より毛が密だった。茎を支えたまま麻紐を結び直そうとしたが、片手では難しい。一度手を離すと、茎がゆっくりと元の傾きに戻っていく。

花の重みか、それとも昨日の雨のせいか。迷いながらもう一度茎を起こす。今度は肘で支えながら両手で紐を結ぶ。結び目を作る間、顔が花に近づいた。花びらはまだ開ききっていない。中心の茶色い部分に朝露が残っている。

ヒマワリの花言葉は「あなただけを見つめる」と言われる。去年、花屋の値札で見た記憶がある。紐を結び終えて手を離すと、茎はわずかに揺れて止まった。

水やりのホースに手を伸ばしかけて、やめた。土はまだ湿っている。指先に茎の産毛の感触が残っていた。ざらざらとして、でも柔らかい。もう一度触ろうとして手を引いた。隣の家から換気扇の音が聞こえてくる。ヒマワリは真っ直ぐ立っていたが、花の向きは変わらないまま、東の空を向いていた。

深夜のベッドサイドでスマートフォンの画面を見る手元

深夜のスマホ画面、震度の数字と赤い地図

枕元で鳴った通知音に手を伸ばした。充電コードがついたままのスマホを持ち上げると、画面の明るさで目がくらむ。自動調整をオフにしたままだった。

赤い色が地図の上に広がっていた。震度という文字の隣に数字が並ぶ。7、6強、6弱。知らない土地の名前がいくつか表示されている。親指で画面を上にずらすと、更新時刻が出てきた。21時半すぎ。今は深夜0時を回っている。

画面を横にして地図を拡大しようとしたが、指が滑って別のアプリが開いた。戻るボタンを押す。また通知が入り、画面上部に小さく文字が流れた。病院、手当て、意識なし。途中で切れて全文は見えない。

充電コードを握ったまま、ベッドの端に座り直した。コードの被覆がところどころ剥がれかけていて、指先に引っかかる。画面をもう一度見る。数字は変わっていない。7、6強、6弱。

隣の部屋から物音がした。誰かが起きたらしい。廊下の隙間から光が漏れてくる。画面の明るさを下げようとして、間違えて音量ボタンを押した。無音のまま音量バーだけが表示される。

スマホを置いて横になった。充電コードが首筋に触れて冷たい。天井の暗がりに、さっきの赤い地図の残像がまだ浮かんでいる。エアコンの送風音が急に大きく聞こえた。また通知音が鳴る。今度は手を伸ばさず、青白い光が天井に反射するのを見ていた。

夜の台所で換気扇の羽根を触る手元

夜の換気扇、羽根の油膜

換気扇のカバーを外した。羽根の縁に指を当てると、油膜がぬるりと指先を覆った。人差し指と親指をこすり合わせてみる。粘りがあって、離すときに細い糸を引いた。

洗剤をスプレーしようと手を伸ばしたが、ボトルの底が濡れていた。流しの縁に置き直す。換気扇の羽根を見上げると、蛍光灯の光が油膜に反射して、虹色の筋が浮かんでいた。去年の大掃除のとき、同じように虹色を見た記憶がよぎる。あのときは昼間だったか。

羽根を指で押してみた。軸が少しだけ回転して、カタンと音を立てて止まった。もう一度押す。今度は抵抗があって動かない。力を込めると、指が油で滑った。

隣の部屋から同居人の足音がした。廊下を通って洗面所へ向かう音。水が流れる音が壁越しに聞こえてくる。

スプレーボトルを手に取り、換気扇に向けて二回押した。泡が羽根に付着して、ゆっくりと垂れ始める。一滴が私の手首に落ちた。冷たくて、レモンの匂いがした。

羽根の隙間から奥を覗き込む。モーターの黒い塊が見える。その周りにも油と埃が層になっていた。指を差し込もうとしたが、届かない。手を引いて、また羽根の表面を撫でた。泡と油が混ざって、白く濁った液体になっていく。

台所の窓の外は真っ暗で、自分の姿がぼんやり映っていた。腕を上げたまま、換気扇を見上げている姿。泡がまた一滴、今度は床に落ちた音がした。拭かずに、そのまま羽根の油膜を指でなぞり続けた。金属の冷たさが、まだ指先に残っている。

夜の暗い部屋でタブレットを持つ手元、画面の光と充電ケーブル

夜のタブレット、震度の数字と充電コード

タブレットの通知音が二回鳴って、布団の横に置いていた端末を引き寄せた。画面の上部に赤い枠で囲まれた文字が並んでいて、震度という字と数字が見えた。親指でロックを解除しようとしたが、指紋が読み取れずにもう一度押し直した。

画面を横向きにすると、地図が表示された。知らない地名がいくつか並んでいて、赤い円が重なっていた。人差し指で画面に触れると、円の大きさが変わった。指を離すと元に戻った。もう一度触れて、今度は少し長く押した。画面の明るさで、枕元のティッシュ箱の角が白く浮かび上がった。

充電コードを探った。ケーブルの先端が布団の隙間に入り込んでいて、引っ張ると抵抗があった。もう一度引くと、するりと抜けてきた。端子の金属部分に埃がついていて、シャツの裾で拭いた。

タブレットの充電口にケーブルを差し込もうとしたが、向きが逆だった。裏返して差し直すと、小さくカチッと音がした。充電中を示すアイコンが右上に現れた。

画面をもう一度見た。更新時刻が「21:57」となっていた。下にスクロールすると、同じような赤い文字の通知がいくつも続いていた。親指が画面の端についたまま、そのままの位置で止まっていた。エアコンの送風音だけが部屋に流れていて、画面の光で照らされた親指の腹に、細かい指紋の線が見えた。

夜の台所でスポンジを握る手元、蛍光灯の光と水滴

夜の台所、濡れたスポンジの重み

シンクの縁に置いてあったスポンジを取り上げた瞬間、予想より重かった。親指と人差し指で挟んだだけでは持ち上がらず、中指も添えて握り直した。昨日の夜から水を含んだままだったらしい。蛍光灯の白い光がスポンジの表面の小さな穴を照らしていた。

蛇口をひねると、最初に温かい水が出てきた。配管に残っていた分だろうか、それとも外気温のせいか。スポンジを水流の下に持っていくと、含んでいた水が押し出されて薄くなった。指の間から古い水が染み出してきて、洗剤の匂いと混じった。人差し指で表面を押すと、新しい水が吸い込まれていく音がした。

食器用洗剤のボトルを左手で持ち上げたが、思ったより軽い。残量を確かめようと傾けると、中で液体が偏る感触が伝わってきた。スポンジの上に垂らすと、緑色の液体が染み込む前に一瞬表面に留まった。

皿を一枚手に取った。冷蔵庫の低い唸り声が止まり、急に静かになった。スポンジを皿の表面に当てて円を描き始めると、すぐに泡が立った。親指の腹で皿の縁を支えながら、人差し指と中指でスポンジを動かす。泡が指の第二関節まで這い上がってきた。

隣の部屋から扇風機の首振り音が聞こえてきた。皿をすすいでいる途中で、スポンジから垂れた泡が素足の甲に落ちた。冷たさが一瞬走って、すぐに温かくなった。水を止めようと蛇口に手を伸ばしかけたが、まだ泡が流し台の隅に残っているのが見えた。スポンジを絞る手を止めて、そのまま立っていた。窓の外から遠くの車の音が聞こえてきて、また消えた。

夜の台所の流し台と排水口の金属網

台所の排水口、夜の金属網

排水口の縁

流しの中に手を伸ばしていた。食器を洗い終えて、排水口の金属網を持ち上げようとして、人差し指の先がぬめりに触れた。

網の縁を親指と中指で摘んで持ち上げると、裏側に張り付いていた野菜くずがぽとりと落ちた。キャベツの芯だったか、それとも何か別のものか。網目に水滴がいくつもついていて、蛍光灯の光を反射していた。

金属の温度

指先に残った金属の冷たさが、手のひらまで這い上がってきた。網を三角コーナーの上で振って、水を切ろうとしたが、途中でやめた。猫が廊下を歩く音がした。

もう一度排水口を覗き込むと、黒いゴムのパッキンが見えた。その隙間に、さっきまで気づかなかった米粒がひとつ挟まっていた。爪楊枝を取りに行こうとして、引き出しに手をかけたところで、隣の部屋から物音がした。同居人がまだ起きているらしい。

水滴の行方

金属網をそのまま流しの端に置いた。網目から垂れた水が、ステンレスの上に小さな水たまりを作っていく。それを見ているうちに、去年の夏、実家の台所で母が同じように排水口を掃除していた場面が浮かんだ。あの時は昼間で、窓から入る光が違っていた。

蛇口から水を少し出して、指先のぬめりを流した。水は冷たすぎず、ぬるすぎず。手を拭こうとしてタオルに手を伸ばしかけ、そのまま止まった。濡れた指先が、夜の空気に触れて少しずつ乾いていく。排水口からかすかに、水が流れる音がまだしていた。

夜の満員電車内、スマホの画面光と乗客の肩

振替輸送の車内、夜の肩と画面

駅の改札を出たところで振替輸送の案内を受け取った。紙の端が湿っていた。折り目をつけずにポケットへ入れて、別の路線のホームへ向かう。階段の手すりが妙に冷たかった。

車内に乗り込むと、すでに人の壁ができていた。ドアの脇に立って、肩が隣の人のリュックに当たる。布地の硬さと、その下の何かの角を感じる。足を少しずらすと、今度は後ろの人の鞄が腰に触れた。

つり革を右手で掴もうとして、届かなかった。左手に持ち替えて、ようやく指先が届く。人差し指と中指だけで輪を挟んで、体重を預けられない。電車が動き出すと、慣性で体が後ろに引かれた。

目の前でスマホの画面が光っている。青白い光が顔の下半分を照らしていた。指が画面を上下に動かすたび、光の強さが変わる。隣でも別の画面が動いていた。ゲームの音は聞こえないが、親指の速い動きでそれとわかる。

窓ガラスに自分の顔が映っていた。暗い外の景色に重なって、疲れた目元が見える。視線を画面に戻すと、今度は肩越しに別のスマホが見えた。メッセージアプリの既読マークが並んでいる。

車内アナウンスが流れて、次の駅名を告げた。ドアが開くと、一瞬だけ風が入ってきた。生ぬるい空気だった。また人が乗り込んできて、さっきより圧迫感が増す。つり革から手を離して、今度は手すりを探した。金属の冷たさが、掌に心地よかった。

前の人が体勢を変えて、リュックの位置がずれた。肩に食い込んでいた角が外れて、急に楽になる。でもすぐに別の荷物が当たってきた。今度は柔らかい布の塊だった。電車の揺れに合わせて、その圧力が強くなったり弱くなったりする。窓の外を流れる光の列を見ながら、まだ半分も進んでいない

濡れた歩道の側溝と鉄格子

側溝の鉄格子、夕方の雨水

歩道の端で立ち止まった。側溝の鉄格子が黒く濡れている。格子の隙間から、下を流れる水が見えた。薄茶色に濁っている。

しゃがんで格子に人差し指を当てた。鉄の表面がひんやりと冷たい。指を横にずらすと、錆びた部分のざらつきが指紋に引っかかった。格子の一本一本の間隔は、親指がちょうど入るくらい。試しに親指を差し込んでみると、第一関節のあたりまでしか入らなかった。引き抜くときに、爪の先に水滴がついた。

格子の下で水音がする。ちょろちょろという音と、時々ごぼっという太い音が混ざる。顔を近づけると、下水の匂いとアスファルトの濡れた匂いがした。でも思ったほど嫌な匂いではなく、土っぽい匂いも混じっていた。雨上がりの匂いかもしれないし、側溝に溜まった落ち葉の匂いかもしれない。

立ち上がろうとして、膝に手をついた。ズボンの膝のところが、少し湿っている。いつの間にか濡れた地面についていたらしい。手のひらで払ったが、湿り気は取れなかった。

そのまま格子を見下ろしている。水の流れる音が続いている。隣のビルから、換気扇の低い音が聞こえてきた。空はまだ明るいが、建物の陰になった部分はもう薄暗い。格子の角に、小さな葉っぱが一枚引っかかっていた。緑色だが、端が少し茶色くなっている。指でつまもうとしたが、届かなかった。

また膝を曲げかけて、やめた。ズボンがこれ以上濡れるのも面倒だ。格子の上に、新しい水滴が一つ落ちてきた。どこから落ちたのか見上げたが、わからなかった。

夕方の歩道橋の手すりと階段

歩道橋の手すり、夕方の熱

歩道橋の階段を上がりかけて、右手を手すりに置いた。金属の表面がまだ熱を持っていて、掌に張り付くような感触があった。指を少しずらすと、別の箇所も同じくらいの温度で、親指の腹で押してみても熱は変わらなかった。

階段を降りてくる人の足音が近づいて、遠ざかった。コンビニの袋を提げた人、傘を持った人、イヤホンをした人。みんな下を向いて歩いていた。

手すりから手を離して、もう一度触れた。今度は指先だけで、軽く。やはり熱い。昼間の日差しがまだ残っているのか、それとも排気ガスの熱なのか。下の車道から、アイドリングの音と焦げたような匂いが上がってきた。

階段の途中で立ち止まった。商店街の入り口が見えて、シャッターを下ろし始めている店が二軒あった。隣の八百屋はまだ明るくて、店先のトマトが赤く光っていた。

手すりをもう一度握った。今度は五本の指全部で、しっかりと。金属の継ぎ目に中指が当たって、そこだけ温度が違った。少し冷たい。指を継ぎ目に沿って動かすと、ざらついた感触があった。錆びているのかもしれない。

階段を一段降りようとして、やめた。手すりを握ったまま、そのまま立っていた。下から上がってくる風に、ラーメン屋の匂いが混じった。手のひらがじんわりと熱を吸い込んでいく感覚が、まだ続いていた。

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