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思考と技術の記録。besoft Blog

開発・設計・運用・プロダクトづくりのなかで得た知見を、読みやすくまとめて共有します。

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夜の玄関の傘立てに立つビニール傘

夜の玄関、傘立てに増えたビニール傘

今日は夕方から曇っていた。夜になって、コンビニに行くついでに傘を持って出たら、雨は降っていなかった。結局、傘をささずに帰ってきた。

玄関に入って傘立てに傘を戻すとき、見慣れないビニール傘が一本、斜めに立っているのに気がついた。透明の傘で、取っ手が白い。僕のは紺色の折りたたみだから、明らかに違う。

昨日は小雨が降った。濡れた傘を乾かそうと、皆ここに出しっぱなしにすることがある。でも、この傘は畳んだまま、水滴もついていない。誰かが置き忘れたにしては、きれいすぎる。

妻に「この傘、知ってる?」と聞いたら、「ああ、それ。昼にお客さんが来たとき、忘れていったみたい。連絡しようと思ってたのに、忘れてた」と言った。そこで、電話するのを僕が引き受けた。

相手の名前を聞いて、スマホを探した。リビングのテーブルの上にあるはずだった。テーブルの上には、昨日のレシートと、切手を貼っていない封筒が二通あった。封筒を見て、明日郵便局に行くのを思い出した。スマホは、ティッシュの箱の横にあった。

電話をかけたら、すぐに出た。忘れ物のことを伝えると、先方も気づいていなかったらしい。「明日取りに行きます」と言って、電話は終わった。

その後、風呂に入って、今、ここに書いている。傘はまだ傘立てに立っている。取っ手の白が、暗がりで少し浮いて見える。明日、誰かが取りに来るまでは、そのままでいいかと思っている。それだけの話だ。

ベランダの鉢植えの土を手に取る男の羊毛フェルト風イラスト

夜のベランダで、鉢植えの土の匂いを嗅いだ

ベランダのひまわり、そろそろ終わりなのか。花びらが半分落ちて、種の部分が半分だけ見えてきた。

今夜は曇りで蒸し暑い。鉢を動かそうとして、深く指を入れたら、土の匂いが急に立った。久しぶりに嗅ぐ、生っぽい匂い。腐っているのとは違うけど、湿り気を含んだ土の中の匂い。

僕はそのまま鉢の縁にしゃがんで、指をぬいて染みついた土を鼻に近づけた。もう一度嗅ぐと、今度は土と一緒に肥料の匂いが混ざってくる。化成肥料特有の、なんとなく薬っぽい香り。

昔、畑当番をしていたのを思い出した。朝一番に畑へ行って、スコップで土を返す。朝の土はいつも冷たくて、匂いが強かった。特に夏の終わり、水やりしたあとの土は、今夜これと同じ匂いがした。

ひまわりの鉢に戻って、土を軽く空気に触れさせるみたいに、表面を指先でなぞった。すると下の方から根が張っているのがわかる。土の中でひっそりと動いている感じがして、ちょっとくすぐったい。

そこで急に、手のひらの土をどうするかが気になった。パンツのポケットには入れたくないし、ベランダに払うのもためらう。結局部屋に入って、水道で流した。石鹸は使わなかった。土の匂いが手に残るのをなんとなく惜しんで、水だけにして、タオルで拭いた。

戻ってから、花が終わったあとの処理を考えた。たぶん種を取って、茎は切ってしまう。でも、今日やる気にはならない。鉢の位置を少しだけずらして、水をやって、それでおしまい。ベランダはやっぱりジメッとしていた。

夕方の風呂場で排水溝の蓋を外して掃除している様子

夕方の風呂場、排水溝の蓋を外した

夕方、風呂場に入ると、排水溝の流れが少し悪いことに気づいた。昨日の夜からなんとなく嫌な予感はしていた。蓋を外すと、案の定、髪の毛が絡まり、石鹸カスが固まっていた。指でつまんでゴミ箱に捨てたが、ヌメッとした感触が指に残る。

蓋自体も、よく見ると裏側に白いゼリー状のものが付いている。前に専用の洗剤で掃除したのは、まだ梅雨の頃だったと思う。あれから一ヵ月半も経つのか。洗剤の残りが少ないから、今回はお湯とブラシでなんとかしようとしたが、途中で歯ブラシの古いのを使っていることに気づく。捨てる前に一度使えるかどうか試した。

排水溝の奥の方はブラシが届かない。結局、手を突っ込んで、指先で絡まった毛を引き出した。鏡に映る自分の顔は、少し不機嫌で、前髪が濡れて額に張り付いていた。風呂場の壁にある換気扇の音だけが響いている。蓋を戻すとき、すぐに流し直してみると、水の落ちる音が変わっていた。ちゃんと吸い込まれていく。

ふと、今朝の天気予報では夜から雨と言っていたのを思い出す。窓の外はまだ明るかったけど、少しだけ湿った風が入ってきていた。風呂場の窓を閉めて、水道の蛇口を確認して、出ていく前にタオルをかけ直した。掃除をしている最中ずっと鼻についていた石鹸の匂いも、風呂場を出る頃には気にならなくなっていた。

夕方の沼に浮かぶ水草の葉

夕方の沼、岸に浮かぶ水草の葉

夕方、沼の岸にしゃがんで水草の葉を眺めていた。風が少しあって、水面は細かく波立っている。浮かんだ葉がゆっくり回って、また戻る。同じ場所に留まっているようで、少しずつずれているらしい。

何の水草かは分からない。丸い葉が五、六枚、茎みたいなもので繋がっていて、その一部が水に沈んでいる。岸から手を伸ばせば届く距離だったが、触るのが面倒でそのままにした。

しばらく見ていると、葉の上に小さな虫が乗っていることに気づいた。アメンボではなく、もっと短い足の虫だ。葉が回るたびに体を向き直している。あれは何という虫だったか、名前を思い出そうとして、思い出せなかった。

そういえば、小学生の頃、学校の裏手にあった小さな池でも同じような葉を見た気がする。あの時は棒で引き寄せて、家に持ち帰ろうとした。途中で飽きて道端に置いてきた。

風が止んで、水面が急に静かになった。葉の動きも止まり、虫が何かを探すように歩き始める。しばらくするとまた風が吹いて、虫は葉の裏に隠れた。

結局、水草の名前も虫の名前も分からないまま、立ち上がって家に向かった。明日また見に来てもいいが、来ない気もする。

午後の塀の上に座る猫の手作り絵本風イラスト

午後の猫、塀の上で考えていたこと

午後の用事を終えて、いつもより一本裏の通りを歩いた。目的は特にない。ただ、表通りより日陰が多い気がして、ついそちらへ足が向いただけだ。

その猫を見つけたのは、角から二軒目の塀の上だった。灰色の猫で、前足をそろえて座っていた。動かない。目だけがゆっくりと動いて、通りがかりの僕を追う。

僕が近づいても、猫は立ち上がらなかった。逃げる気配もない。ただ、こっちを見て、何かを考えているような顔をしている。猫が何かを考えているかどうかは分からないが、ああいう姿勢を見ると、こっちがいろいろと考えてしまう。

そういえば、今日は朝から仕事の締め切りが頭から離れなかった。原稿を一つ、午後までに送る約束だったが、朝のうちに送ってしまった。それで少し気が抜けたのかもしれない。塀の上の猫を見ながら、あの原稿、本当に大丈夫だったかな、と思い返す。

猫は時々、まばたきをした。ゆっくりと。僕はそのまばたきの回数を数え始めたが、途中で面倒になってやめた。なんのために数えているのか、自分でもよく分からなかった。

それから、猫の左耳に小さな傷があるのに気づいた。かさぶたになっていて、もう治りかけているようだった。触りたいとは思わなかったが、どこで付けたのか、なんとなく気になった。喧嘩だろうか。それとも、どこかの塀に引っかけたのか。

しばらく立っていた。暑いのに、そんなに汗はかかなかった。風が一回、吹いて、生暖かかった。猫は風が吹いたとき、だけ、耳を少し動かした。それ以外は、ずっと同じ姿勢だった。

僕はそのまま、角の自動販売機でお茶を買おうと思った。が、財布を忘れたことに気づいた。家に置いてきた。仕方なく、来た道を引き返すことにした。猫は、僕が動いても、まだ塀の上にいた。

昼前の川原で石を投げる男性の後ろ姿

昼前の川原で石を投げた

昼前の川原に来ていた。先週買ったばかりのスニーカーが、砂利の上で少し滑る。曇り空のはずが、いつの間にか日差しが出ていた。

踏み固められた土の上に、白い小さな石がいくつか転がっている。しゃがんで、手頃な大きさのものを拾った。親指の先くらいの、丸っこい石だ。川に向かって投げてみると、水面に当たって「ぴしゃん」と軽い音がした。あんまり飛ばなかった。

二個目はもう少し大きいのを選んだ。今度は少しだけ弧を描いて、水の中に沈んでいった。あたりに跳ねる水しぶきが、気持ちよかった。

石を投げるのは、小学生の頃に川で遊んだとき以来かもしれない。あのときは、もっと水が冷たくて、足がすくむほどだった。そういえば、あの日も同じように、遠くのほうで鳥が鳴いていた。

投げた場所から少し歩いて、今度は水際にしゃがみ込んだ。水は思ったより澄んでいて、底の小石がそのまま見える。手を伸ばして、水に触れてみた。少し冷たい。触った指をそのままにして、じっと見ていると、水の流れがゆっくりと指のまわりを通っていく。
上流のほうから、風に乗って草の匂いがしてきた。

立ち上がって、川原を横切った。スニーカーの裏に、小さな石が一つ入っていた。歩くたびに、カチカチと音がする。何度か足を振ってみたけど、取れない。

帰るまでには、そのままにしておくことにした。家でスニーカーを脱いだら、その石はどうなっているだろう。ちょっとだけ気になっている。

昼前に郵便受けを開ける人の手元と折り目のあるチラシ

昼前の郵便受け、押し込まれたチラシの折り目

郵便受けに手を入れたら、固く折りたたまれたチラシが奥まで詰まっていた。指先に折り目が当たって、ぱりっとした感触が伝わる。10時半を過ぎたばかりの配達にしては、少し厚みがある。

取り出して広げると、近所のスーパーの特売だった。でも、見覚えのない店舗名が載っている。うちから歩いて15分はかかる場所で、行ったこともない。どうしてこのチラシが入っていたんだろう。配達の人が間違えたのか、それとも何かの折り込みの余りか。

折り目は三つ折りをさらに半分にした形で、きっちり四角くなっていた。その折り方だけが妙に丁寧で、誰かが心を込めて押し込んだように見えた。クーポン券の切り取り線を、ぼんやり指でなぞる。結局、使うことはないだろう。

そのまま捨てようとして、一度手を止めた。裏面に小さな手書きのメモがあったからだ。「8/5 まで」とだけ書いてあって、何の締め切りか分からない。もしかしたら、前の住人宛てのものかもしれない。この部屋に越してきて、もうすぐ三年になるけれど、前の人の郵便物は今でもたまに届く。

メモの文字は急いで書いたのか、最後の「で」の字がとがっていた。誰かに何かを知らせたかったんだろうか。それとも、自分宛ての覚え書きだったのか。隣の部屋の住人に聞いてみようかとも思ったが、昼前にインターホンを鳴らすのは気が引ける。

結局、チラシはテーブルの隅に置いたままにしている。夕方になっても、まだそこにある気がする。

ダンボールを開けて中を確認する男性の後ろ姿

ダンボールの角に、母の癖が残っていた

午前中に宅配便が届いた。実家の母からで、箱を開けるとまず醤油の瓶が出てきた。使いかけで、ラベルが少しはがれかけている。それから新しいスリッパが一足、まだビニールに包まれたまま。

母はいつもこうだ。何かを送るとき、隙間埋めに冷蔵庫の中身やら余った日用品やらを詰める。今回の隙間は、ビニール袋に入ったお菓子と、なぜかハンドクリーム一本。

箱の隅に、新聞紙で包んだ何かがあった。開けると、去年の冬に実家で使っていた小さな目覚まし時計だ。電池を入れれば動くかもしれない。いや、動かなくてもいいかと思い直して、机の上に置いた。

母の梱包の癖は、ガムテープを端から三センチくらい余らせること。いつもきれいに折り返してある。今回もそうだった。その折り返しを見て、母が猫の世話をしながら、テープを切っている姿を思い出した。電話では最近、物忘れが増えたと言っていた。でもこのテープの折り方は、昔と変わっていない。

お礼の電話をしようとして、その前に送ってよかったものの確認をした。スーパーの袋に入った、私の古いルーズリーフがあった。捨てるつもりで置いてきたのに、母はとってあったらしい。半分ほど使っていて、数枚に落書きがある。何年生のときのだか、思い出せない。

そのまま少し眺めてから、袋ごとゴミ箱に入れた。電話をかけると、母は「何か足りなかった?」と聞いてきた。足りないものはない、と伝えて、スリッパを履いてみた。

昼前の草原に咲くクローバーと、その上を歩く小さな虫

昼前の草原、踏みつけられたクローバー

昼前の草原を歩いていた。空は高くて、雲が一つもない。踏みしめる草は乾いていて、昨日の雨の湿り気はもうなかった。

足元に、倒れたクローバーがあった。誰かが踏んだらしく、白い花が地面にへばりついている。花の周りの葉は半分折れていたが、それでも緑は濃くて、茎の先だけが折れ曲がっている。僕はしゃがんで、そのへばりついた花を指で起こそうとした。しかし、花はステムの根元でねじれたまま、元の方向を向こうとしない。

そのまま指を離すと、花はまた地面に戻った。僕は、このクローバーの茎がどうやって二度と同じ向きに戻らないのか考えた。夕方にはまた立つかもしれないと思ったが、実際はどうか分からない。そもそも、踏まれたクローバーが立ち直るのを見たことがない。

草の隙間で、小さな虫が動いていた。黒い甲虫で、クローバーの葉から葉へ渡っていく。足が速くて、僕が見ている間に三枚の葉を横切った。その虫の後を追って目でたどると、踏まれたクローバーの花に、もう一匹止まっていた。それはさっきのと同じような虫で、花びらの中に頭を突っ込んでいた。

ふと、遠いほうで草刈り機の音がした。そちらのほうの草原はもう刈り取られていて、緑の粉が飛んでいるのが見えた。僕は、踏まれたクローバーの場所から立ち上がった。草刈り機の音はどんどん近づいてくるようで、でもまだずいぶん遠い。

結局、クローバーはあのままだった。僕はその場を離れて、草原の端の木陰へ歩いていった。そこでは、草が風に揺れて、かすかにサラサラと鳴っていた。

朝顔のつるがネットに絡まる朝のベランダの手作りイラスト

朝顔のつる、巻き方の癖

朝、水をやるついでにベランダの朝顔を眺めていたら、つるの巻き方に癖があることに気がついた。同じネットに絡まっているのに、左巻きのものと右巻きのものが混ざっている。朝顔はどちらかに決まっていると思っていたので、少し驚いた。

ネットの目を数えてみると、左巻きが七本、右巻きが四本。数えたところで何かが分かるわけではないが、気になってしまう。去年はこんなことは考えなかった。ただ水をやって、花が咲いたらそれでよかった。

つるの先端を指でなぞってみると、触ると少しだけひんやりしていた。まだ朝の涼しさが残っているからだろう。葉の裏にアリが一匹いて、ゆっくりと進んでいた。僕の指が近づいても、止まることなく進み続けた。

支柱に巻きついた細いつるを、ふいに千切ってみたくなった。が、すぐにやめた。せっかく伸びたつるをもったいないと思う気持ちと、千切ったらどうなるのかという好奇心がせめぎ合って、結局何もしなかった。ただ、そのつるが左巻きだったことは覚えている。

水をやる前に、プランターの土を指で軽く掘ってみた。表面は乾いているが、少し下は湿っている。水をやりすぎてもいけない。去年、水をやりすぎて根を腐らせたことを思い出す。あのときは枯れた朝顔を捨てるのが嫌で、しばらくそのままにしていた。

ネットの結び目に、去年の麻ひもがまだ残っているのに気がついた。ほどけかけて、そのままになっている。何かをするでもなく、それを少し引っ張った。ほどけそうで、ほどけない。そのままにしておくことにした。

そういえば、今朝はまだ花が開いていない。朝顔は早朝に咲くから、もうしぼみかけているはずなのに、今日はつぼみのままのものがある。曇りがちの朝だったからだろうか。天気予報では午後から晴れると言っていたが、本当だろうか。空のようすを見ると、確かに青い部分が見えている。

水をやることにして、じょうろを手に取った。ついでに、あの麻ひもをほどいてみようかとも思うが、とりあえず水をやることにした。

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