
昼下がりの通知、タブを閉じるまで
あ、また来た。スマホの画面に、見慣れたアイコンと赤字のバッジ。キャリアからのお知らせだ。何だろう、と思いつつ指でタップする。親指の腹で軽く押すと、すぐにブラウザが起動して見出しが並んだ。データ容量が増えるキャンペーン、だって。
スクロールしようとした指が止まる。なんとなく、数字の部分だけ目で追った。30が40になる、という一行。へえ、と思って少しだけ画面を上に進める。指先でそっとガラスをなぞると、文字の並びが動いて、同じような説明が下まで続いていた。
僕は一度、画面の上部に人差し指を乗せて、タブを切り替えようか迷った。結局、別の指でそっとタブの×印を押す。軽く触れただけで、画面は元のニュース一覧に戻った。
エアコンの風がかすかに聞こえる。午後1時半、窓の外は雲が増えてきた頃だ。もう一度スマホを見ると、バッジの数字が増えている。さっきの通知はまだ未読のまま、別の見出しが目に入った。別の会社が買収されるらしい、というやつ。
なんとなく、その見出しをタップしてみる。でもすぐに、画面を閉じた。今度は指を止める間もなく、×印を押して。また通知一覧に戻る。増えたバッジがちょっとだけ気になったけど、まあ、あとで消せばいいか。








