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思考と技術の記録。besoft Blog

開発・設計・運用・プロダクトづくりのなかで得た知見を、読みやすくまとめて共有します。

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深夜の寝室でエアコンのリモコンを手にする男性

深夜のエアコン、風向きを変えたら止まらなかった

深夜二時過ぎ、目が覚めてしまった。寝汗が気持ち悪くて、エアコンのリモコンを手に取った。風向きが下向きのままだと、冷気が直接体に当たる。設定温度はそのままに、風向きボタンを押した。

リモコンの小さな表示が、下向きの矢印から横向きに変わった。それだけのはずだった。ところが、エアコン本体から出る風の音が、急に大きくなった。風量を変えたわけでもないのに、冷気が部屋の中をぐるぐる回り始めた。

何度もリモコンを押して、風向きを戻そうとした。表示は元に戻ったのに、風の音はおさまらない。首を傾げながら、本体のランプを見つめた。オレンジ色の小さなランプが、何かの合図のように点滅している。

そういえば、先週も似たことがあった。風向きを変えたとき、少し変な音がした。あのときはすぐに直ったから、気に留めなかった。今夜は、どうも様子が違うみたいだ。

迷った末、電源ボタンを押した。エアコンは静かになったが、部屋の空気がむっとする。窓を開けると、夜の風が入ってきた。外は思いのほか涼しい。エアコン止めたままでも、大丈夫かもしれない。

リモコンを置いて、もう一度横になった。天井のシミが暗闇に浮かんで見える。あのランプの点滅は、何だったんだろう。朝になったら、説明書を見てみよう。そんなことを考えているうちに、眠気が戻ってきた。

深夜のキッチンで冷蔵庫を開けたまま、中に卵のケースが見える様子

深夜の冷蔵庫、卵のケースを開けたままにした

冷蔵庫を開けたまま、卵のケースをじっと見ていた。深夜二時過ぎ、暑さで目が覚めて、麦茶でも飲もうとキッチンへ来たのに、なぜか卵を取り出してしまった。ケースには半分だけ卵が残っている。賞味期限のシールが斜めに貼ってあって、それが気になって剥がそうとしたけど、指先でつまんだら千切れて余計に汚くなった。

ケースを開けたのは、たぶん明日の朝に目玉焼きを作ろうと思ったからだ。でも、卵が何個あるか確認しただけで、結局また冷蔵庫に戻す。そのまま閉めればいいのに、右手でケースを持ったまま、左手で冷蔵庫の温度設定を触っていた。何度も触るところでもないのに、つい指が動いてしまう。

冷たい空気が足元に流れてくる。夏の夜でも、冷蔵庫を開けているとひんやりする。麦茶のボトルは棚の奥にあって、手前の牛乳パックの向こう側。取るために腕を伸ばしたら、卵のケースが少し傾いて、中の卵が二個、転がってぶつかった。カチッと小さな音がした。

その音でようやく我に返って、麦茶をコップに注いだ。冷蔵庫を閉めようとしたとき、卵のケースのフタが閉まりきっていないのに気づく。出し入れのとき、指で押し込む位置がちょっとずれていたみたいだ。フタを押そうとしたけど、閉める前にもう一度卵の数を数えたくなる。五個。それでいいはずなのに、もう一回数えても五個だ。

キッチンの時計を見ると、二時四十三分。まだ夜だ。麦茶を飲みながら、卵のことは明日考えようと思う。ケースのフタは、ちゃんと閉めたかどうか覚えていない。

夜の洗面所で曇った鏡に指を触れる若い男性の手

夜の洗面所で、鏡の曇りを指でなぞった

クーラーを二十八度に設定してから二時間あまり、リビングで読んでいた本が途切れて、ふと洗面所へ向かった。ドアを開けると、風呂上がりのような湯気とは違う、線香みたいな湿り気が立ちこめている。鏡をのぞき込むと、全面がうっすらと曇っていて、自分の顔がぼやけた輪郭しか結ばない。

指先をあてがって、ゆっくりと縦になぞった。曇りを払うと、その下の自分の目が現れる。線一本分だけの鮮明な視界が妙に新鮮で、もう一度、今度は横に一本なぞってみる。十字の向こうで、充血した目がこちらを見ていた。

鏡の曇りは、窓の結露とは少し勝手が違う。窓では、外と内の温度差が生む冷たい水滴だが、洗面所の鏡は、部屋全体の湿度が直接表面に乗るようだ。確かめようがないが、風呂を使っていないのに鏡が曇るのは、今夜の湿度と関係しているのだろう。

指の腹には、少しひんやりした液体の膜が残った。ん、と指先をこすり合わせると、水というより薄い油の感触がある。化粧水や洗顔料の飛沫が湯気に混じって、鏡の表面に溜まったのかもしれない。もう一度鼻を近づけても、特に匂いはしなかった。

キッチンの蛇口をひねって、ぬるま湯で指だけ洗い、タオルで拭いた。戻って鏡をのぞくと、さっきの十字の線はもう薄れて、あとは横線のほうがかすかに残るだけだった。曇りは時間とともに厚みを増すらしい。まだ乾かそうとはせず、そのままにしておいた。

夕暮れの池のほとりで、水草の葉に触れる手

夕暮れの池で、水草の葉を一枚だけ触った

池の縁にしゃがんだのは、帰り道の途中だった。夕暮れの光が水面に薄く張っていて、その下に水草の葉が数枚、動かずに浮かんでいた。飴色というより、焦げ茶に近い色だった。僕は手を伸ばして、いちばん手前にある葉を一枚だけ、そっと触った。

葉は想像よりもしっとりしていて、表面に細かな気泡がついていた。指先でなぞると、ぷつり、ぷつりと弾ける。湿った音がしそうで、実際にはしなかった。ただ、ぬるい感触だけが残った。真夏の夜の手前という感じの温度だった。

気がつくと、もう一枚の葉を触ろうとしていた。それで思いとどまったのは、全部触ったら何かが決まってしまいそうな気がしたからだ。一枚だけ、というのがよかった。

立ち上がって、手のひらに残った水気を拭わずにいた。水草の葉の上の気泡が、まだいくつか見えていた。空はまだ明るく、西の低いところだけ、桃色みたいな色が混じっていた。池の向こうで、人が自転車を押して歩いていた。

その人の後ろ姿を見たとき、高校の生物準備室のことを思い出した。標本の水草が、ホルマリンの瓶に押し込められていた。あれも葉っぱ一枚ずつ、誰かが触って瓶に入れたのかもしれない。だけど、そんなことを考えても、答えは何も出なかった。

僕は小さく息をついて、帰り道を歩き出した。指先にはまだ、あのぬるさが薄く残っていた。それだけの話だ。

歩道の舗装の隙間から伸びるユキノシタの葉先。奥に夕暮れの住宅街がぼやけて見える。

十八時半、歩道の舗装を跨いで伸びていたユキノシタ

十八時半、買い物の帰り道、いつも同じ角を曲がったところで足が止まった。

歩道の舗装の隙間から、ユキノシタが何本も顔を出していた。夏の終わりでも、この辺りは陽当たりが良くなくて、日中もどこか薄暗い。さっきまで小雨が降っていたせいで、葉っぱに水滴がいくつか残っていて、薄暗がりの中で妙に目立っていた。

しゃがみこんで葉の一枚を指でめくると、裏側に赤紫色のまだら模様があった。店で売っている園芸種より色が淡くて、模様も不揃いだった。この模様、どこかで見たことがある気がして、しばらく考えてしまった。小学生のとき、文房具屋で買った消しゴムの柄に似ていたんだと思う。あの頃、表は真っ白で裏だけカラフルな模様がついた消しゴムを集めていた。使うのがもったいなくて、筆箱の中でずっと隅に置いたままだった。

立ち上がるとき、少しだけ左膝が鳴った。舗装を跨ぐように伸びた茎が、もう歩道の半分近くまで達していて、誰かに踏まれたのか、一箇所だけ折れ曲がっていた。折れた先の葉はまだ萎れておらず、表面に水滴が三つ、並んで乗っていた。数日前にこの道を通ったときは、こんなに伸びていなかったはずなのに。

スーパーのレジ台に置かれた、少し破れたもやしの袋のミニチュア風イラスト

スーパーのレジで、もやしの袋が少しだけ破れていた

スーパーのレジで、かごからもやしを取り上げたとき、袋の端が少しだけ破れているのに気づいた。かごの底に、水滴がたまっていた。レジのおばさんは何も言わず、新しい袋に取り替えましょうかと手を伸ばした。僕は、いえ、これで、と言って、そのままカゴに戻した。

もやしの袋の破れ。それくらいで交換してもらうのは、なんだか申し訳なかった。というか、自分が破ったかもしれないし、そもそも破れていても、家に着くまでの数分だ。袋の端から、ほんの少し水分がにじんでいる。透明な袋の内側が、うっすら曇っていた。

会計を済ませ、レシートを受け取ると、かごの水滴でレシートの端が少し濡れていた。インクがにじんで、数字の一部がぼやけている。それを見て、なぜか、息子が小さかった頃、もやしを「白いひげみたい」と言っていたのを思い出した。あの頃は、買い物に行くたびに、もやしの袋をふりまわして、よく破らせたものだ。

レジ袋に商品を詰めながら、もやしを一番上に置いた。ぬれた指先を、持っていたハンカチで拭いた。ハンカチは昨日のものだ。薄い水色がくたびれている。

外に出ると、細かい雨が降り出していた。今日は一日、こんな天気が続くらしい。もやしの袋の小さな破れから、水滴がぽつりと落ちた。僕はそれを、なんだか大事なもののように、しばらく見ていた。

斜めに貼られた特売シールが目立つドラッグストアの棚

遅い朝のドラッグストアで、特売のシールが斜めに貼ってあった

金曜の遅い朝、曇りがちな空の下、近所のドラッグストアに寄った。今日は八月七日だが、店内はエアコンがよく効いていて、少し肌寒いくらいだ。

シャンプーの棚の前を通りかかると、特売の黄色いシールが貼られたボトルが目に入った。しかし、そのシールが微妙に斜めになっている。右の端が五ミリほど下がっていて、正面から見るとどうも落ち着かない。

僕はその場に立ち止まり、隣の同じ商品と見比べてしまった。他のボトルはまっすぐにシールが貼られているのに、それだけが傾いている。誰かが急いで貼ったのか、それともわざと目立つようにしたのかはわからないが、気になりだすともうダメだった。

商品自体は問題ないはずなのに、斜めのシールだけで買う気が少し削がれる。こんなことで判断が揺らぐ自分が少し変に思えた。けれど、スーパーで少し傷んだ野菜を避けるのと似ているかもしれない。見た目のほんの小さな違和感が、妙に頭に残る。

結局、そのシャンプーは手に取らず、いつもの無難なものをカゴに入れた。レジへ向かいながら、ふと外を見ると、さっきより雲が厚くなって、小雨がぱらつき始めていた。傘を持ってこなかったことを思い出し、急ぎ足で会計を済ませた。

小雨の降る遅い朝、草原に咲く一輪の花と、それを折ろうか迷う手のシーン

遅い朝の草原で、茎を折らずに一輪だけ持ち帰ろうとした

傘を差して歩くのがなんとなく面倒で、小雨の中をそのまま歩いた。シャツがじわじわと湿っていく。草原の真ん中あたりで、ぽつんと一輪、名前の分からない白い花が咲いていた。

周りには同じ花は見当たらなくて、その一輪だけが妙に背が高く、ゆっくり揺れていた。茎は細くて、ところどころに小さな棘があった。僕はなぜか、それを家に持ち帰ろうと思った。理由はない。ただ、今ここで見ているこの花を、もう少しだけ手元に置いておきたくなった。

茎の下の方に親指と人差し指をかけて、そっと折ろうとした。けれども、指に力を入れる直前に、自分の指が少し濡れているのが気になった。雨のせいか、それとも汗か。濡れた指で折ると、茎が滑って、思ったところとは違う場所で折れてしまうかもしれない。少しだけ指をシャツで拭こうかと思ったけれど、どっちみちシャツも湿っている。

僕は一度指を離し、花をもう一度見た。雨の粒が花びらにいくつか乗っている。葉っぱの裏側には、小さな虫が雨宿りをしていた。たぶんアブラムシの仲間だと思う。持ち帰ったら、この虫はどうなるんだろう。たぶん、家のどこかで乾いて死んでしまう。そんなことを考えると、茎を折る指にまた力が入らなくなった。

結局、花には触らず、そのまま丘の上の方へ歩いた。振り返ると花はまだ同じ場所で揺れていた。家に着いて、濡れたシャツを脱いでいると、あの花びらに乗っていた雨の粒の数を数えようとしていたことを思い出した。数え終わる前に、やめてしまったけれど。

雨上がりのベランダで咲く青い朝顔。ミニチュア風の素朴な質感で、羊毛フェルトのような柔らかさとパステル調の色彩。

早朝の雨上がり、朝顔の青を覚えている

ベランダのプランターで、朝顔が二つ咲いている。青い方が一つ、もう一つは白に近い水色。今朝は曇り空で、ついさっきまで小雨がぱらついていた。葉っぱの上に、まだ水滴が残っている。ジョウロを持ってきて、根元に水をやろうとした。でも、指で土を押してみると、けっこう湿っている。昨日の雨がしっかり染み込んだらしい。水やりはやめて、しゃがんだまま朝顔を見上げた。

そういえば、朝顔の花言葉って、前に調べたことがある。たしか「愛情」とか「儚い恋」とか、色によって違うらしい。青は何だろう。思い出せない。スマホをポケットから出して調べかけて、すぐにしまった。調べたところで、その言葉がこの朝顔にぴったりくるかというと、そうでもない気がしたからだ。目の前の花は、ただ青くて、雨に濡れて、少し重たそうにしているだけだ。

去年の夏も、同じ場所で朝顔を育てていた。あの時は紫の花がよく咲いて、花言葉は「冷静」だった気がする。紫の朝顔には、どこか落ち着いた雰囲気があった。今年のは、なんだかもっと軽やかだ。花の青が、曇り空の下で妙に明るく見える。僕は立ち上がって、ベランダの手すりに肘をついた。眼下の道路は、もうすっかり乾きかけている。さっきまでの雨が嘘みたいだ。

ふと、朝顔の花を裏側からのぞいてみた。ガクのあたりがほんのり黄緑で、産毛みたいな細かい毛が生えている。そんな部分まで見るのは久しぶりだ。子供の頃、朝顔の花を分解して遊んだ記憶がある。花びらを一枚ずつはがして、色水を作ろうとしたが、うまくいかなかった。あの時は、花言葉なんて知らなかった。ただ、青が好きだっただけだ。部屋に戻ろうとしたら、もう一つの水色の花が、ほんの少しだけ開きかけているのに気づいた。さっきまでは蕾だったのに。それだけ確認して、カーテンを閉めた。

早朝の台所の隅にあるトレイの上のリンゴ

早朝の台所で、トレイの上のリンゴを見ていた

今朝は六時前に目が覚めた。昨日の晩、友人と会ってつい食べ過ぎたせいで、まだ胃がもたれている。寝起きの体はだるく、しばらく布団の中で天井を眺めていた。外はもう明るい。カーテンの隙間から曇り空が見え、湿った空気が部屋に入ってくる。

台所へ行くと、昨夜の片づけが中途半端に残っていた。シンクにコップが二つ、テーブルの上には食べかけのスナックの袋。ゴミ箱は蓋が閉まらないほど膨らんでいる。なんとなく皿を洗う気になれず、冷蔵庫を開けてリンゴを取り出した。最近、朝にリンゴを食べるのが習慣になっている。よく冷えたそれをトレイに載せ、包丁を出す。

ところが、リンゴの赤い皮を見つめているうちに、手が止まった。別に嫌いになったわけじゃない。ただ、今の自分にはこのリンゴは必要ないと、体が言っている気がした。食べるという行為そのものが、まだ遠くにある。

包丁を置き、リンゴをそっとトレイに戻した。トレイは流しの隅にあり、その上にはいつも果物を置いている。リンゴは少し水滴がついていて、光を鈍く反射していた。こんなことで迷う自分が少しおかしかった。

結局、水だけ飲んでリビングへ戻る。テレビをつけると、朝のニュースが昨夜の雨のことを伝えていた。僕はソファに座り、まだ眠い目で画面をぼんやり見ていた。リンゴは台所でそのままだった。

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