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思考と技術の記録。besoft Blog

開発・設計・運用・プロダクトづくりのなかで得た知見を、読みやすくまとめて共有します。

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早朝のガードレールに置かれたペットボトル、朝日を受けて輝く水滴

早朝のガードレール、置き去りのペットボトル

早朝のガードレールに、ペットボトルが一つ置いてあった。透明で、中身はもうほとんど残っていない。ラベルが半分剥がれかかっていて、朝の光を受けて少し透けて見える。指先で押してみると、へこんだ。パキッという音がしそうな気がしたけど、実際には小さな乾いた音だけだった。水でも入っているのか、底のほうにわずかな重みがある。ラベルの端をそっとめくると、粘着面に細かい埃がついていた。昨日降った雨のせいか、表面はしっとりと濡れている。親指でボトルの腹をかるくなぞると、水滴がいくつか転がって手に触れた。冷たくはなく、空気と同じ温度になっている。無意識に蓋を回しかけて、やめた。なにか中から声が聞こえそうで、少し躊躇した。風が吹いて、ガードレールに当たる音がした。僕はペットボトルから手を離し、そのまま少し歩いた。振り返ると、ボトルはまだそこにあり、朝日でラベルがきらりと光った。誰かがここで一息ついたのかもしれないし、ただ置き忘れただけかもしれない。どちらにせよ、僕はもう触れずに通り過ぎた。

早朝の草むらで葉先に水滴が付いている様子

早朝の草むら、葉先の水滴

今朝、外に出てみた。空気はまだひんやりとしていて、風はほとんどない。草むらの前にしゃがみ込む。

葉先に水滴がついている。何気なく、人差し指を伸ばして触れてみた。先端からそっと、力を入れずに近づける。すると、水滴は指に吸い寄せられるように移動し、指先を冷たい感触が包んだ。

水滴は、思ったよりもしっかりとした形を保っている。表面張力というやつだろうか。昔、理科の授業でそんな言葉を聞いた覚えがある。実際に触れてみると、教科書の図とはまったく違う感触だ。

指を離すと、葉はかすかに揺れた。水滴がなくなった葉先は、少し寂しそうに見える。周りを見渡すと、他にも同じような水滴がいくつかあって、光の加減でキラキラと輝いている。

もう一つ、今度は薬指で触れてみた。さっきよりも慎重に。水滴は同じように指に移り、また冷たさが広がる。二度目の方が、わずかに温度が低く感じたのは気のせいだろうか。

そのまましばらく、草むらを眺めていた。陽が高くなるにつれて、水滴が次第に乾いていく。特に何かをするでもなく、ただそれを見つめている時間が、妙に心地よかった。

結局、それだけで家に戻った。大したことじゃない。でも、まあ、こんな朝も悪くない。

早朝の台所で製氷皿を手に取る手元

朝方の冷蔵庫、製氷皿を引き出す

そういえば、冷凍庫の製氷皿を取り替えようと思っていた。まだ外は薄暗い。台所の灯りは点けずに、冷蔵庫の明かりだけで十分だった。

取っ手に指をかけて、そっと引き出す。人差し指と中指に力を込め、手前が浮いたところで親指に切り替える。製氷皿の縁はざらついていて、指の腹に細かい凹凸が伝わる。引き抜く途中で氷のきしむ音が響いた。

息を止めて、もう少しだけ引き寄せる。氷と皿の隙間からかすかな冷気が手のひらに落ちた。

隣の部屋で誰かが寝返りを打つ気配がして、動きが止まる。冷蔵庫のモーター音だけが耳につく。そういえば、昔の家の冷蔵庫はもっと賑やかだったな、と思った。集中力が途切れて、今の家の静かさと比べてしまう。

再び皿に手を伸ばす。今度は一気に引き抜いた。皿の隅に霜が薄く残っていて、指の熱でぷつぷつと消えていくのを眺める。すぐに結露が始まり、プラスチックの表面がしっとりと湿り気を帯びてきた。

氷は中心あたりが白く濁っていた。指で触れると、温度の差でぱきりと小さく割れる。その欠片が爪先に触れたまま、しばらく動かさずにいる。冷たさはすぐに鋭さを増し、指を離したあともひりつく感覚が残った。

さて、新しい水を入れるか。それとも、このまま戻しておこうか。シンクに置いたまま、蛇口をひねらずにいると、窓の外がようやく明るみかけてきた。空気がほんの少し白んでいる。製氷皿に注がれる光が、氷の縁を淡く浮かび上がらせる。

結局、何もしないまま数分立ち尽くす。指先はまだ冷たかった。

夜明けの薄暗い部屋で、飼育ケースの蓋を少し開け、中の鈴虫を覗き込む手元

夜明けの鈴虫、ケースの蓋を少しだけ開けた

眠れなかった。布団の中で何度か寝返りを打ったけれど、結局夜が明けてしまった。部屋の隅に置いた鈴虫のケースを見る。いつもならリンリンと鳴いている時間なのに、今朝は静かだ。暑さのせいかもしれない。そういえば昨日はかなり気温が上がった。

ケースの蓋に指をかける。人差し指で縁をなぞると、わずかに湿った感触がした。昨夜、霧吹きをした水が残っているのだろう。少しだけ蓋を開けてみる。隙間から冷えた空気が流れ込むのを感じた。中の鈴虫は動かない。死んでしまったのかと一瞬思ったが、足が微かに動いたので、生きてはいるようだ。

もう少し蓋を開け、指を中に入れてみる。土の表面に触れると、ひんやりとしていた。指先をそっと動かすと、鈴虫がわずかに身じろぎした。指が触れるか触れないかの距離で止める。虫の体から伝わるかすかな振動が指に伝わった気がした。

しばらくそのままにしていた。外から鳥の声が聞こえ始める。部屋の中はまだ薄暗い。もうすぐ本格的に明るくなるだろう。蓋を閉めないまま、窓の方を見る。空が白み始めている。鈴虫はまた静かになった。

そっと指を抜き、蓋を元に戻した。半分だけ閉めて、また考える。結局、完全に閉めてしまう。鈴虫は夜になったらまた鳴くだろうか。もしかしたら、今夜も暑いのかもしれない。

深夜の台所でシンクの隅に指を置く手元

夜の台所で、シンクの隅に指を置いた

台所の明かりをつけずに、シンクの前に立った。なんとなく、右の人さし指を伸ばして、シンクの角の、ボウルと縁のつなぎ目あたりに触れてみる。

金属の冷たさが指の腹に吸いつく感じ。そのまま、そっと押し当ててみると、表面はつるりとしているのに、目には見えない細かなざらつきが指紋にひっかかる。水垢だろうか。力を少しだけ込めて、円を描くように動かす。きゅ、というより、す、に近い摩擦音がかすかに聞こえた。

指を離して、今度は中指と薬指の二本で、同じ場所をなぞる。さっきより広い面積で触れると、ざらつきは均一じゃないことがわかる。部分的に、わずかに盛り上がったような箇所があって、そこだけ指が引っかかる。爪を立てて軽くこする。カリカリと音がして、小さな白い粉が爪の先にたまった。炭酸カルシウムか何かだろう。そういう話をどこかで読んだ気がする。

シンクの下の収納を開けて、タオルを取り出そうかと思ったが、やめた。もう一度、指の腹で、こすった場所を撫でてみる。さっきより滑らかになっている。でも、完全ではない。何度やっても、少しだけ跡が残るんだろうな。

そういえば、子供の頃、庭の水道の蛇口にこびりついた白い汚れを、同じように爪で削ったことがあった。あの時は、夏休みの自由研究みたいな気分で、熱心にやったけど、結局、中途半端に終わった。

蛇口から、水滴が一滴、シンクに落ちる。音が静かな台所に響いて、それからまた、エアコンの室外機の低い振動だけが聞こえる。指先はまだ、シンクの隅に置いたままだ。冷たさはもう感じない。

夜の台所で換気扇のフィルターに触れる指先

夜の換気扇、フィルターの油を指でなぞる

そういえば、換気扇のフィルターをしばらく替えていなかったな、と思い立って台所へ向かう。時刻はもう夜だ。外の空気はまだ蒸し暑い。蛍光灯をつけると、フィルターの表面がうっすら光って見えた。

人差し指を伸ばして、そっと網目に触れてみる。指先にねっとりとした重さがまとわりつく。少し力を入れてなぞると、指の腹に油の筋ができた。透明に近いけど、わずかに黄色い。この感触は久しぶりだ。

中指に持ち替えて、さっきよりも深く押し込むようにフィルターの奥まで指を這わせる。網目の凹凸が指紋に引っかかる感じがして、一度指を止めた。横から見ると、押し込んだ部分だけ油が指の形にへこんでいる。照明の下で角度を変えると、そのへこみがてかてかと反射した。

隣の部屋から物音がして、手を引っ込める。何か言われたわけでもないのに、こういう時は急に現実に戻される気がする。また指を戻す。今度はフィルターの端まで油を伸ばすように、ゆっくりと線を引いてみた。最初はさらさらしていたのに、途中から抵抗が強くなる。温度で油の柔らかさが変わったのかもしれない。

油まみれの指先を見つめながら、そういえば子どもの頃、祖母が天ぷらを揚げた後の網じゃくしを指でぬぐっていたのを思い出した。あれは何のためだったんだろう。まあ、今は関係ないか。

指を拭こうとキッチンペーパーを探すが、このままもう少し触っていたい気もして、しばらく手を宙に浮かせた。外の虫の声がかすかに聞こえる。夜の台所は静かだ。結局、指はフィルターに戻り、もう一度だけ軽くなぞってから、やめた。

夜のベランダで、鉢の土に指を入れる手元の様子

夜のベランダ、鉢の土に指を入れてみた

夜のベランダに出て、鉢の土に指を入れてみた。今日は水をやっていなかった。表面は乾いて白っぽい。人差し指を第一関節まで差し込むと、少し冷たくて、ほんの少しだけ湿っている。

指を抜くと、爪の間に細かい粒が入り込んだ。月明かりにかざしてみたけど、粒の色まではわからない。黒っぽい小さな欠片がいくつか、指の腹に張り付いている。匂いを嗅いでみた。土の匂いというより、湿った埃に近い。

そういえば、この鉢には何の植物も植えていない。春に種を蒔いたけど芽が出ず、それきりだ。今はただの土が入っているだけ。それでも、こうして時々触りたくなるのはなぜだろう。

隣の家の室外機が低く唸っている。遠くでパトカーのサイレンが聞こえた。風はほとんどなく、夜の空気が肌にまとわりつく。手に付いた土を払おうとして、やめた。もう一度、今度は中指を深くまで沈めてみる。今度は根っこに触れる感覚はなく、ただ細かい砂のような抵抗があるだけだ。指を動かすと、土がわずかに崩れて指先に集まる。

そのまましばらく手を止めて、街の明かりを眺めた。指先の土が乾いていくのがわかる。もう水をやる気にはならなかった。鉢から手を抜いて、ベランダの手すりに軽く触れた。手すりの塗装は剥げかけていて、ざらざらしている。夜の湿気がそこにも少し残っていた。

夜の台所でスポンジを水切りする手元の様子

夜の流し台、スポンジの水切り

夜の台所で、食器を洗い終えたスポンジを手に取った。シンクの隅に置いてあったそれを、指先でつまみ上げる。まだずっしりと水を含んでいて、冷たい。まずは軽く握る。親指と人差し指、中指で力を込めると、スポンジからじわっと水がにじみ出て、指の間を伝った。

そのまま手のひら全体で包み込むようにして、ぎゅっと絞る。最初は勢いよく水が流れ落ちるけど、だんだんと雫が細くなる。力を入れ続けると、スポンジがきゅっと音を立てるような気がした。実際には音はしなくて、自分の指の関節がかすかに鳴っただけかもしれない。

何度か握り直しているうちに、ふと疑問が湧いた。このスポンジって、どれくらいまで絞ればいいんだろう。完全に乾かすわけじゃないし、でも水が滴るまま置いておくのも気になる。以前、誰かが「スポンジは立てて乾かすと良い」と言っていたのを思い出す。根拠は忘れたけど、空気に触れる面が増えるかららしい。

まあ、そんなことを考えながら、結局いつもと同じように、もう一度だけ軽く握ってから、シンクのふちに立てかけた。指先が少しふやけている。蛇口から一滴、水が落ちる音がして、それから静かになった。明日もまた、同じように絞るんだろう。何も結論は出ないまま、手を拭いた。

夕暮れの公園の隅で、木の枝に張られたクモの巣。指先がそっと糸に触れている。

夕暮れのクモの巣、指先で触れた糸の震え

公園の隅、ベンチに座ってぼんやりしていたら、視線の先にクモの巣が見えた。木の枝と枝の間に張られていて、夕方の薄暗い光に透けて、ほとんど目立たない。でも、風が吹くたびに、全体がかすかに揺れて、ああ、そこにあるんだな、って思う。

で、なんとなく指を伸ばしてみた。人差し指の先で、そっと一番外側の糸に触れる。思ったより強い。指を離すと、糸はすぐに元の位置に戻って、小さく震えていた。その震えが、隣の糸にも伝わって、波みたいに広がっていった。

クモの糸って、すごく強いらしい。同じ太さの鋼鉄よりも強いって話をどこかで聞いたことがある。本当かどうかはわからないけど、実際に触れてみると、たしかにちょっとやそっとじゃ切れそうにない。それに、ベタベタしてない。粘着性のある糸と、ない糸を使い分けるらしい。僕が触れたのは、たぶん枠組みの糸で、粘着性はなかった。ほっとしたような、ちょっと残念なような。

もう一度、今度は真ん中のあたりに触れてみようかと思ったけど、やめた。巣を壊してしまいそうで。そのかわり、顔を近づけてよく見てみる。縦糸と横糸が、きれいに放射状に張られてて、真ん中は少しだけ盛り上がって見えた。そこが隠れ場所なんだろうか。クモ自身はどこにも見当たらなかった。

風がまた吹いて、巣全体が揺れた。今度は少し強めに。でも、糸はびくともしない。しばらく見ていたけど、何かが引っかかる様子もない。まあ、こんなもんか。そう思って、ベンチから立ち上がった。

オフィスのデスクでスマートフォンの画面を見つめる男性の後ろ姿。画面には通知が表示されているが、内容は読めない。

昼下がりの通知、タブを閉じるまで

あ、また来た。スマホの画面に、見慣れたアイコンと赤字のバッジ。キャリアからのお知らせだ。何だろう、と思いつつ指でタップする。親指の腹で軽く押すと、すぐにブラウザが起動して見出しが並んだ。データ容量が増えるキャンペーン、だって。

スクロールしようとした指が止まる。なんとなく、数字の部分だけ目で追った。30が40になる、という一行。へえ、と思って少しだけ画面を上に進める。指先でそっとガラスをなぞると、文字の並びが動いて、同じような説明が下まで続いていた。

僕は一度、画面の上部に人差し指を乗せて、タブを切り替えようか迷った。結局、別の指でそっとタブの×印を押す。軽く触れただけで、画面は元のニュース一覧に戻った。

エアコンの風がかすかに聞こえる。午後1時半、窓の外は雲が増えてきた頃だ。もう一度スマホを見ると、バッジの数字が増えている。さっきの通知はまだ未読のまま、別の見出しが目に入った。別の会社が買収されるらしい、というやつ。

なんとなく、その見出しをタップしてみる。でもすぐに、画面を閉じた。今度は指を止める間もなく、×印を押して。また通知一覧に戻る。増えたバッジがちょっとだけ気になったけど、まあ、あとで消せばいいか。

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