
早朝のガードレール、置き去りのペットボトル
早朝のガードレールに、ペットボトルが一つ置いてあった。透明で、中身はもうほとんど残っていない。ラベルが半分剥がれかかっていて、朝の光を受けて少し透けて見える。指先で押してみると、へこんだ。パキッという音がしそうな気がしたけど、実際には小さな乾いた音だけだった。水でも入っているのか、底のほうにわずかな重みがある。ラベルの端をそっとめくると、粘着面に細かい埃がついていた。昨日降った雨のせいか、表面はしっとりと濡れている。親指でボトルの腹をかるくなぞると、水滴がいくつか転がって手に触れた。冷たくはなく、空気と同じ温度になっている。無意識に蓋を回しかけて、やめた。なにか中から声が聞こえそうで、少し躊躇した。風が吹いて、ガードレールに当たる音がした。僕はペットボトルから手を離し、そのまま少し歩いた。振り返ると、ボトルはまだそこにあり、朝日でラベルがきらりと光った。誰かがここで一息ついたのかもしれないし、ただ置き忘れただけかもしれない。どちらにせよ、僕はもう触れずに通り過ぎた。








