
東京のかき氷、候補が多すぎて決められない
16時34分、東京のかき氷を紹介する記事を開いたまま、僕は画面を一度いちばん上まで戻した。写真がいくつも並んでいるのに、どれが最初に出てきた店なのか分からない。暑さで頭がぼんやりしているせいにしたが、たぶん普段から選ぶのが遅い。
気温は28.7度で、窓の外は晴れている。冷たいものを食べたい気持ちはあるのに、記事に出てくる「個性豊か」という言葉を読むと、急に比較を始めてしまう。氷の細かさ、果物の量、器の大きさ。まだ食べてもいないのに、僕の中で採点表だけができていく。
候補の写真を指で横へ送っているうち、画面の端に小さく残ったスクロールバーが気になった。何軒あるか数えようとして、三つ目でやめた。数えたところで決まらないのは分かっているのに、数を知れば選べる気がする。このあたりが自分でも面倒くさい。
行列や営業時間まで考え始めると、かき氷を食べたいという話が、出かける計画の採点になってしまう。僕は記事の中ほどへ戻り、写真の下にある短い説明を読み直した。味より先に、文字の長さがそろっていることを見ていた。
閉じる前に、いちばん赤いシロップの写真だけもう一度見た。味の想像ではなく、暑い日にこれを見た人が同じように立ち止まるのか、と考えていた。結局、店の名前を覚える代わりに「東京のかき氷」という見出しだけが残った。画面を消すと、指先が少し熱かった。








