
紙袋の輪ゴムを、外す前に二度数えた
紙袋の輪ゴムを外そうとして、僕は指を止めた。持ち手の片側に黒い輪ゴムが二本、もう片側にも二本ある。見れば分かることなのに、いきなり引っぱると数え方を忘れそうで、左から一、二と声に出さずに追った。午後二時十四分、窓の外では細い雨が続いている。
一度数えたあと、紙袋を少し回して、同じ二本を別の二本として数えていないか確かめた。輪ゴムは重なっていて、下の一本の端だけが短く見える。そこを指先で持ち上げると、ゴムの戻る力で紙袋の口が小さく震えた。外すだけなのに、確認のほうが手間になっている。
僕はまず手前の一本を外した。残った三本を数えようとして、外した一本を机の脇へ置く。いや、置いた場所を覚えている必要はないと思いながら、輪になった黒い線が紙袋の茶色に妙に合っているのを見てしまった。袋の底には折り目があり、そこだけ少し白く擦れていた。
その折り目を見ていたら、紙袋をたたむ向きが気になり、口を平らにする前に左右の角を合わせた。輪ゴムはあと三本。今度は二度数えなかった。一本ずつ外すたび、紙の表面を爪で傷つけないように指の腹へ持ち替えた。雨の音が少し強くなり、僕は袋を開いたままにしていることを思い出した。
二本目はすぐ外れたが、三本目だけ持ち手の根元に食い込んでいた。引けば済むのに、そこだけ先に輪を広げ、紙を押さえてから抜いた。外した輪ゴムをまとめると三本に見え、最初に数えた四本との差が合わない気がした。机の脇を見ると、一本目がまだ丸いまま転がっていた。








