
遅い朝の川辺で、石を一つ拾った
午前10時を過ぎた頃、散歩がてら近くの川辺に下りてみた。もう日は高くて、朝の涼しさはすっかり消えている。水際の石はまだ少し湿っていて、触るとひんやりした。
何となく足元の石をひっくり返してみたくなって、近くにあった握りこぶし大の石を持ち上げる。裏側は色が濃くて、細かい砂が張り付いていた。川の流れが作ったのか、表面にうっすらと白い筋が何本か走っている。特に珍しい石ではない。でも、その筋の模様が妙に気になって、しばらく手のひらで転がしていた。
そういえば、小学生の頃、図工の時間に石を拾ってきて絵の具を塗ったことがある。あの時は川原で平たい石ばかり探したっけ。理由は単純で、平たいほうが塗りやすいからだ。今手にしている石は丸みがあって、絵を描くには不向きだろう。そんなことをふと思う。
足元では、小さな魚が影から影へと泳いでいる。水は思っていたより澄んでいて、底の小石まで見えた。手に持った石をそっと水に浸してみると、途端に色が変わり、白い筋がくっきり浮かぶ。濡れたほうが模様がはっきりするらしい。面白いなと思いながら、石を元の場所には戻さず、もう少しだけ上流側の浅瀬に置いた。なぜか、さっきとは違う場所に置きたくなったのだ。
結局、その石は持って帰らずに、その場を離れた。ただ、手のひらに残った冷たい感触と、濡れた時に浮かんだ白い筋のことを、しばらく思い出しそうだ。








