
森林の木陰は、湿った土の境目から見ていた
森林の木陰に入って、靴を止めた。正午なのにそこだけ少し温度が違うように感じたが、涼しさより先に、地面の色の切れ目が目に入った。昨日の雨を含んだ土は黒く、落ち葉の下まで湿っている。その隣では、同じような茶色の葉が乾いて軽く反っていた。
境目は線になっているわけではなく、ところどころ土がにじむように広がっていた。僕はしゃがまず、靴先だけを少し横へ向けて見た。踏めば簡単に混ざってしまいそうなのに、見るだけならまだ分けておける気がした。こういうとき、木の幹より足元を見ている自分は、森林に来た目的を少し外している。
細い枝が一枚の葉を押さえていて、その下だけ丸く濃くなっていた。枝をどかせば確認できるのに、そこまでしなくてもいいと思い、代わりに乾いた葉の端を目で追った。葉脈の折れ方が妙にきれいで、土の湿り具合より長く見ていた。
木陰から出る前に、もう一度だけ境目へ視線を戻した。陽の当たる側から見ると、黒い土は思ったより狭く、靴の幅にも満たない場所だった。僕は足を踏み出さず、枝に触れないまま立ち上がりかけて、結局その姿勢で少し止まった。








