
窓の水滴を数えてから、夏の空を見上げた
窓を拭こうとして、布を持ったまま水滴を数え始めた。昨日からの雨が今朝も少し残っていて、ガラスの内側ではなく外側に、小さい粒がばらばらに張りついている。数えるなら上からなのか左からなのか決めていなかったので、途中で同じ粒を二度見た気がして、最初からやり直した。こういうところで手際の悪さが出る。
大きな水滴は下へ流れた跡を一本だけ残し、その脇に細い線が二本並んでいた。線を水滴として数えるかどうかで迷い、結局、丸く残っているものだけにした。ガラスの端には粒が寄っていて、中央より数えにくい。窓の水滴を数えることに意味はないのに、数え方だけは妙に正しくしたくなる。
十を過ぎたあたりで、外の明るさが目に入った。雨雲が切れたというほどではないが、灰色の向こうに夏の空の青さが薄く見えている。窓の汚れを確認するつもりで近づいたのに、僕は水滴の隙間を探して空を見ていた。昨日の雨で冷えた朝の感じが、ガラス一枚で少し遠くなった。
それでも布を置く場所がなく、窓枠の角へいったん寄せた。数えた数はもう覚えていない。二十を超えたかどうかも怪しく、記録しておけばよかったとは思わなかった。ただ、拭けば見えなくなるものを先に見ておきたくなっただけだ。外側の粒は、空の明るい部分に重なると輪郭がよく分かった。
窓を開けるほどではない小雨で、部屋の空気もまだ重い。僕は残った水滴を一つ選び、下へ動くかしばらく見ていたが、動かなかった。布を持ち直して、今度こそ端から拭くつもりになったところで、ガラス越しの青い部分がまた広がって見えた。








