
午後の車道に残る水の軌跡
アスファルトの境界線
車道の端を歩きながら、足元のアスファルトがまだらに濡れているのが見える。乾いた部分は灰色が薄く、水分を含んだ部分は黒く沈んでいる。その境界線は不規則で、まるで地図の海岸線のように入り組んでいる。
右足を一歩前に出すと、靴底が微かに湿った音を立てた。完全に乾いてはいないが、歩くのに支障はない程度の湿り気だ。視線を上げると、車のタイヤが通った跡が二本の線となってアスファルトに刻まれている。その線の内側だけが特に黒く、タイヤの重さで路面に押し込まれた水分がまだ残っているのだろう。
排水溝の金属音
歩道との境界に設置された排水溝の金属製の格子が、足音に反応して微かに震えている。格子の隙間から下を覗き込むと、底に溜まった水が薄暗い光を反射していた。その水面に、通り過ぎる雲の影がゆっくりと移動していく。
皆さんも雨上がりの道を歩いていて、こうした小さな水の世界を覗き込んだことがあるかもしれない。
金属の格子に触れてみると、表面には細かい水滴が点々と付着している。指先でそれを拭うと、冷たい感触が皮膚に伝わってきた。格子の向こうから、かすかに下水の匂いが上がってくる。
歩道の縁石に沿って
コンクリート製の縁石に沿って歩き続ける。縁石の上面は完全に乾いているが、側面には雨の跡が縦に筋となって残っている。その筋は等間隔ではなく、コンクリートの表面の微細な凹凸に従って蛇行している。
立ち止まって縁石に手を置くと、表面のざらざらした質感が手のひらに伝わってくる。コンクリートの粒子一つ一つが指紋に引っかかるような感覚だ。縁石の角は長年の風雨で少し丸みを帯びていて、新しく設置された頃の鋭さはもうない。
足を止めたまま、車道を見渡すと、水たまりの数は思ったより多い。小さなものから手のひらほどのものまで、路面の窪みという窪みに水が集まっている。それらが午後の曇り空を映して、地面に散らばった鏡のように見えた。








