車窓のガラスに映る朝の手

新幹線の車窓と座席、朝の光が差し込む車内

座席の肘掛けに置いた腕の重さ

新幹線の座席に体を沈めると、肘掛けの硬さが腕に伝わってくる。朝の車内は、土曜日のせいか思ったより人が多い。通路側の席から、窓の外を見ようとして首を少し伸ばす。でも結局、視線は手元に戻ってしまう。

膝の上に置いたカバンのファスナーが、車両の振動でかすかに音を立てている。金属の引き手が、布地に当たる小さな音。それを指先でつまんで、音を止める。また手を離すと、同じリズムで音が始まる。

ガラスに映る車内の様子

窓ガラスに顔を近づけると、自分の輪郭がぼんやりと映る。その向こうに、流れていく景色。でも目は、ガラスに映った車内の方を見ている。斜め前の座席で、誰かが大きく伸びをした。その動きが、ガラスの中で小さく揺れる。

手のひらを窓に押し当ててみる。ガラスは思ったより冷たい。朝の外気が、この薄い一枚の向こうにあることを思い出す。手を離すと、かすかに曇った跡が残って、すぐに消えていく。

足元に落ちた切符の端

ポケットから出そうとした切符が、指先から滑り落ちた。足元の、靴とカバンの間の狭い隙間に落ちている。腰をかがめて拾おうとすると、前の座席の背もたれが近い。体をひねって、ようやく指先が届く。

切符を拾い上げて、また膝の上に戻す。車内アナウンスが流れ始めたけれど、内容は頭に入ってこない。窓の外を、電柱がリズミカルに過ぎていく。数えようとして、すぐにやめる。代わりに、シートの布地の感触を確かめるように、手のひらで軽く押してみる。