歩道の端の小さな発見
交差点の角で信号が変わるのを待っていた。土曜の朝、まだ人通りもまばらで、向かいのビルの窓ガラスが朝の光を受けて白く光っている。
足元のアスファルトと歩道の境目に、小さな石が転がっていた。どこかから運ばれてきたのか、角が丸くなって、表面がつるりとしている。しゃがみこんで、それを指先でつまみ上げる。
掌に載せると、思っていたより重い。親指の腹で表面をなぞると、細かな凹凸が指に伝わってくる。灰色と茶色が混じったような色で、よく見ると白い筋が一本、斜めに走っている。
信号が変わるまでの時間
立ち上がると、向かいから歩いてくる人の靴音が聞こえた。カツカツという硬い音が、朝の静かな空気に響く。信号はまだ赤のまま。
石を握りしめたまま、もう一度しゃがむ。アスファルトの表面を見ると、同じような小石がいくつか散らばっている。車のタイヤに弾かれたのか、歩道の端に寄せられたゴミと一緒に、小さな石たちが身を寄せ合っている。
一つ一つ形が違う。平たいもの、丸いもの、角張ったもの。手の中の石だけが、なぜか特別に思えて、ポケットに滑り込ませた。
街の朝の音
信号が青に変わった。横断歩道を渡りながら、ポケットの中で石の感触を確かめる。布越しでも、その重さと硬さがわかる。
向こうから自転車が一台、すれ違っていく。チリンと小さくベルが鳴った。振り返ると、さっきまでいた交差点の角が、朝日を受けて白っぽく見える。
また歩き出す。ポケットの中で、石が太ももにあたって小さな音を立てる。コツン、コツンという音が、歩くリズムに合わせて響く。この音を聞きながら、次の角まで歩いていく。
