水際の砂利が鳴る
湖畔の駐車場から歩いて、ようやく水際まで来た。足元の砂利が靴底に食い込んで、一歩ごとにじゃりじゃりと音を立てる。立ち止まると、その音だけが消えて、遠くで水鳥が羽ばたく音が聞こえてきた。
波打ち際まであと数歩のところで、しゃがみ込む。手のひらほどの平たい石がいくつも転がっている。ひとつ拾い上げて、親指で表面をなぞる。湿っているかと思ったが、案外さらりとしていた。石を握ったまま立ち上がると、膝がぴりっと痛んだ。
対岸の山がぼんやりと
水面を見渡す。今日は風が弱いらしく、湖面にさざ波もほとんど立っていない。対岸の山並みが、薄い靄の向こうにぼんやりと見える。山の輪郭が空に溶けていくあたりを、しばらく目で追った。
手の中の石を、もう一方の手に移す。思っていたより重い。水に投げ込もうかと思ったが、なぜかそのまま握りしめている。石の角が手のひらに食い込んで、じんわりと跡がつく。
足元の水が動く
波打ち際ぎりぎりまで近づいて、つま先を水に向ける。透明な水の中に、小さな魚の影がちらりと見えて、すぐに消えた。水底の砂利も、陸の砂利と同じような色をしている。
靴の先が濡れそうになって、一歩下がる。さっきまで握っていた石を、足元にそっと置いた。他の石と同じように見えるが、どれだったか、まだ分かる。手のひらに残った石の跡を、もう一方の親指でなぞる。
振り返ると、来た道に自分の足跡が点々と続いている。砂利の上だから、はっきりとは残らない。それでも、へこんだところが分かる。もう一度水面を見て、それから歩き始めた。砂利を踏む音が、また始まる。
