夕方の自販機、コインの冷たさと温度

夕方の駅前で自販機にコインを入れる手元

夕方の自販機の前に立つと、手のひらに小さな冷たさが戻ってくる。ポケットのコインは先に冷えていて、指先で転がすたびカチ、と乾いた音がする。買うのはいつも迷うけれど、今日は炭酸のほうを選んだ。ガラス越しに見える缶の輪郭が、街灯の白さを薄く映している。

おつりの取出口に触れた瞬間、金属の感触がしっかり残る。吐く息はまだ軽くて、線路沿いの風が袖の間を抜けていく。自販機の中では冷却ファンが一定に回る音だけが続き、目の前の時間が少し遅くなる。あの冷たさは、さっきまで歩いてきた温度の残りだったのだろうか。