居間の灯りが揺れる午後

夕暮れ時、淡い橙色の灯りに照らされた和風の居間の一角

揺らめく灯りのすぐそばで

居間の灯りがそっと揺れていた。ひと呼吸おくように、布製のシェードがかすかな動きを映している。木製の机の角が、幾度となく手のひらに触れてきたかのように角が丸くなっている。机の上には、使い込まれた陶器の湯呑みがひとつ。少しだけ茶渋が縁に残り、触れたときのひんやりとした感触は記憶の中にいつもある。

それに寄り添う小さな風景

肘置きに掛けられた薄手の膝掛けが、わずかに波打つ。わずかな気配に視線が落ちて、目はしばらく布の織り目を追っていた。畳の縁に積まれた雑誌のページの乱れが、無意識のうちに指を伸ばさせる。ページの端を撫でる指先は、心なしか力が抜けていた。

和紙の障子の向こうに暮れてく空の色が、壁に淡く映り込み、部屋全体をやわらかく包んでいる。外がじわりと静けさを連れてくる一方、室内はその灯りの揺れだけが時を告げる。机の脚元で小さな影がゆらめき、それを意識できるのは、この薄暗さに体が順応しているからかもしれない。

灯りとともにある身体の動き

椅子に腰を下ろすと、わずかな沈み込みが背中のあたりで分かる。手を伸ばして湯呑みを掴み、口元に近づけると、茶の香りがかすかに立ち上る。指先が布の膝掛けに触れる感触がまた、気づけばいつもより柔らかい。そうして、灯りの輪郭がゆるやかに揺らぐ中、呼吸はさらに穏やかに、時間の重さを腕で受け止めるのだった。