湖畔でひそやかに揺れる草の音

霧のかかる湖畔で揺れる緑の草

静かに揺れる湖畔の草

視線を落としたところで、苔むした岩の隙間からひょっこりと顔を出す細い草の葉が微かに揺れている。湿った空気は肺の奥までしみこむようで、衣服の繊維にじんわりと染み入る。ぼんやりと霞んだ湖面は水面の揺れをかすかに映し、風はほんの少し、薄い霧と共にそっと触れて消えた。

草と霧と肌の距離

手を伸ばすと草は冷たく、霧の水滴が指先にころころと転がる。視線は草の先端の輪郭に沿い、細かな風の振動を拾いながら重心が揺れる。頭のうしろでは、遠くから鳥の声が一度だけ聞こえ、止んだ静寂にすぐ沈んだ。ずっと息を潜めていたような時間が、身体の細胞の一つ一つを通り抜ける。

身体のささやかな反応

足元の小石をそっと撫でると、冷えた感触がゆっくりと足の裏に伝わる。左右の肩が軽く動いて、わずかな重みが移動する。向こう岸の木立は輪郭を曖昧にし、そこにいることがどこか現実味を薄くしていく。長い時間ではなく、せいぜい数分のあいだにだけ、目の前のささやかな自然とほんの少し重なってしまったような気配を残す。