窓辺の青い楓
仕事の手を止めて、ふと窓の外に目をやると、楓の青葉がさわさわと揺れていた。まだ柔らかそうな若葉は、風が通るたびに裏側の薄い緑を見せては、また表に戻る。その繰り返しが、まるで木が呼吸をしているようだった。
耳を澄ませば、葉と葉がこすれ合う微かな音が聞こえてくる。サラサラという乾いた音ではなく、まだ水分をたっぷり含んだ葉特有の、少し重たい音。これは初夏だけの音なのかもしれない。
風の通り道
窓を開けると、ひんやりとした風が頬を撫でた。朝の空気はまだ少し冷たさを残している。深く息を吸い込むと、どこか青臭いような、植物の匂いが鼻をくすぐる。
この季節の風は、どこを通ってきたのだろう。隣の公園の藤棚を抜け、通りの街路樹を揺らし、そして今、目の前の楓を通り過ぎていく。風の道筋を想像していると、自分もその流れの一部になったような気がしてくる。
季節の境目に立って
あなたも最近、季節の変わり目を肌で感じることはあるだろうか。カレンダーをめくるだけでは気づかない、小さな変化。光の角度、風の質感、緑の濃さ。そういったものが、いつの間にか次の季節へと私たちを運んでいく。
青葉が揺れる音に包まれながら、しばらくぼんやりと外を眺めていた。やがて雲が動いて、葉の間から差し込む光が一段と明るくなる。初夏の朝は、こんなふうに静かに深まっていくのだった。
