窓から流れ込む初夏の声
机の上に広げた原稿に目を落としていると、開け放った窓から涼やかな風が入り込んできた。ペンを置いて顔を上げると、外の新緑がさわさわと音を立てている。
葉と葉が擦れ合う音は、まるで小さな波のようだ。強く吹けば大きく、弱まれば小さく。そのリズムに耳を澄ませていると、いつの間にか呼吸も同じ速さになっていることに気づく。あなたも、風の音に合わせて息をしたことはあるだろうか。
青葉の陰に隠れた生き物たち
よく聞けば、葉擦れの音に混じって小鳥のさえずりも聞こえてくる。姿は見えないけれど、きっと枝の奥で羽を休めているのだろう。時折、虫の羽音も通り過ぎていく。
初夏という季節は、こんなふうに音で満ちているのだと改めて思う。春の華やかさとは違う、落ち着いた生命の営みがそこにある。
手のひらに残る風の記憶
窓辺に立って、そっと手を伸ばしてみる。風が指の間を通り抜けていく感触は、なんとも言えず心地よい。少しひんやりとして、でも肌に優しい。
こんな小さな瞬間を、私たちはどれだけ見過ごしているのだろう。忙しい毎日の中で、風の音に耳を傾ける時間を持てているだろうか。
再び机に向かう。けれど先ほどとは違って、窓から入る自然の音を感じながら。新緑の季節は、こうして私たちに静かな贈り物をくれるのだ。
