朝露に光る白
七月の朝、庭先に立つと、白い百合がひときわ目を引く。空気は昨夜の湿り気を残し、花びらの表面には細かな水滴が並んでいる。陽の光がまだ低いため、その水滴が一つ一つ宝石のように輝く。百合の花は、先端が外側に反り返り、奥の方まで見通せる形だ。雄しべの先には褐色の花粉がついており、朝の光の中でほのかに浮かび上がる。
百合の来た道
百合はユリ科ユリ属の多年草。原産地は北半球の温帯から亜寒帯にかけて広く分布し、日本にも十数種の自生種がある。七月は多くの品種が開花を迎える時期で、特に白百合は「マドンナリリー」とも呼ばれ、古くから西洋の絵画や文学に登場してきた。その清楚な姿は、結婚式のブーケにも好まれる。
花言葉の神話
花言葉は「純潔」「威厳」。由来は古代ギリシャ神話にさかのぼる。最高神ゼウスの妻ヘラの母乳がこぼれ落ち、地上に白い百合が咲いたという。この話から、百合は純潔と母性の象徴とされてきた。また、キリスト教でも聖母マリアの象徴として描かれ、その白さが神聖さを表す。
朝の静かな確かさ
この百合の佇まいは、見る者の心に何かを投げかける。混じりけのない白が、迷いを帯びた気持ちをそっと押しのけるように。今、あなたが何かを始めようとしているなら、この一輪の真っすぐさを思い出してほしい。日が昇るにつれて水滴は消えていくが、その輝きは記憶に残る。やがて昼の暑さが訪れる前の、この静かな時間だけが持つ確かさがある。
