窓辺にひとり置かれた空き缶
色あせた空き缶が信号のすぐ脇の窓辺に並んでいる。曇り空のなか、しっとりと湿気を帯びた空気が少し肌に触れて、通りのざわめきの中で音が柔らかくなった。
聞こえるのは人の動きと風のつぶやき
一瞬、信号が赤になった。足を止めた人影のざわつきが遠くで揺らぎ、かけ声や足音が風に乗って漏れてくる。手元のスマホ画面の光が微かに映り込むガラスの表面に、空き缶の影が細長く伸びている。
待つ時間のなかで目が留まるもの
差し込む昼の光は弱くても、息づくものの細部はつい追ってしまう。空き缶の凹み具合、錆の粒子、並べられた微かな規則性。混ざりあう静寂と動きの狭間で、ゆっくり時間が溜まっていく。あなたの視線がほんの少しずれた先に、いつのまにか私の意識も移る。
