電車待ちのベンチで
## 薄い光
改札の向こうは、光が一定に揺れて見える。柱の影が短くなりきらないうちに、通りを渡る人の足音が細くなる。
## 紙コップ
自販機で買った紙コップは手のひらが温かい。ふたの縁に指を引っかけて、なるべく動かさずに飲む。金属の少し甘い匂いと、湯気の立つ間合いだけ覚えておく。
## 鍵の重さ
ベンチの横で鍵束を握り直す。財布の角が親指に当たって、落としそうにならない位置がわかる。こういう感覚、帰り道の疲れ方に関係しているのかもしれない?
改札が鳴るたび、背中の上着がわずかにずれる。最後は、カップの底がぬるくなる音がした。
