曇り空の街角で
午後の空は厚く曇り、日差しがかすかに遮られている。木のベンチに腰を下ろすと、座面のひんやりとした感触が手のひらに伝わった。通りの端に佇むベンチは、往来のほとんどない時間帯のせいか、静けさに包まれている。足元に小さな影が揺れ、座っている人の膝元に落ち着いた様子の小犬が丸くなっている。
気づきの隙間
車の音もまばら。遠くからかすかに響く駅の鐘の音が、ゆっくりと過ぎていく時間を告げる。視線を近くの街灯の根元に落とすと、枯れ葉がいくつか集まり細かな模様を描いていた。一瞬の風に揺られては、またそっと定位置へ戻るその繰り返しが気になり、深く見入ってしまう。周囲は無言だが、何かが伝わってくるようで、身体の芯がゆるむのを感じた。
ひと呼吸の間に
背伸びをして背中を伸ばし、掌を静かに膝に置く。目を閉じると、さわさわと葉が擦れ合う音が肉眼よりずっと鮮明に聞こえてくる。湿度は適度で冷たすぎず、服の袖がわずかに腕に触れる感触が穏やかな午後の流れに順応している。言葉の重みがないこの時間がこんなにも長くなるとは思わず、ただ居続けることの奇妙な心地よさに捕らわれていた。いつの間にかそこにあるものと自分の呼吸がひとつに繋がりそうに思えた。
