シャツの襟に残る湯気

湯気の端

シャツの襟を指先でそっと持ち上げる。輪郭の縁に、まだほどけきらない湯気が薄く付く。乾ききっていない布の温度が、指の熱を奪っていく。

水道の回る音

路地の奥から、水道の小さな回転音が聞こえる。洗い場の近くで湯気はゆっくり流れて、コンクリの冷たさだけがはっきり残る。こんなふうに、手の作業はどこへ消えるのだろう。

畳む前の1枚

しわを伸ばしながら、襟の芯に空気を入れる。読めない天気でも、布は正直に匂いを変える。次に袖を通すとき、同じ手触りになるか確かめてみたくなる。