雨の手すりに触れた指先

雨の後の駅前で、金属の手すりに映る街の光

夕暮れの駅前に着くと、まず改札の音から少し遠ざかる通路へ向かった。濡れた雨の手すりは、触れる前に冷えた輪郭が目に入る。金属の筋に沿って光が細く伸び、指先が乗った瞬間だけ温度がほどける。

歩幅を整える

階段の手前で一拍おいて、手すりの高さと自分の体勢を確かめる。靴底が濡れた段差に当たる感触が、短く鳴って消えた。耳に残るのは、足音と屋根の縁で跳ねる水の気配だけ。

次の曲がり角

角を曲がる直前、もう一度手すりを見てから離れる。自分の動きが、滑らない範囲でいちばんまっすぐになる気がした。丁寧に一回確認すると、次の場所が同じ速さで追いかけてくる。

いま、あなたの身近な”触れる場所”はどんな温度をしているだろう。