灯りの輪郭
扉を閉めた瞬間に、湿度をわずかに感じる。外の静けさが重くのしかかるような空気の密度に、ランプの明かりが波紋のように広がってゆく。手元のリモコンをいじりながらも、光量は絞ったままだ。足元まで伸びる影は、細く長く部屋の壁に溶けている。
細い音の隙間
床をそっと踏む足音もなく、壁の時計だけが静かに秒を刻んでいた。外の街灯がカーテンの隙間から淡く流れてきて、揺れるレースに映し出す模様に呼吸をひそめて見る。テレビのスイッチは切ったままだが、窓の外のわずかな人工の灯りが、夜の生活の存在を微かに告げている。
手元のやり取り
ひと息つき、ソファに身体を沈める。手には開いた本があったが、指先だけ動き頁を撫で直す。気が付けばいつの間にか、時計の数字は深く夜を指している。頭の中の雑念を押し広げて、窓の向こうに広がる闇の静けさをじっと見る。外の湿度がひんやりと夜の空気を包み込み、それが身体の輪郭にそっと寄り添う。
