夜の道と足元の模様
少し歩き慣れた夜の道を歩くと、昼間の太陽の熱をわずかに残したアスファルトが、靴底越しにじんわりと柔らかく感じられます。ふと足元に視線を落とすと、街灯に照らされた大きなケヤキの影が、くっきりとした濃い墨色で道いっぱいに広がっていました。
街灯が描くシルエット
4月も終わりに近づき、夜の空気はもう身を縮めるような冷たさを手放しています。代わりに、どこか人懐っこいような、ふわりとした温度をまとっていました。かすかな風が通り抜けるたびに、地面に落ちた無数の葉の影がさらさらと揺れ、まるで音のないダンスを踊っているようです。
帰宅して、上着のポケットから読みかけの文庫本を取り出します。指先に触れる革のブックカバーには、ほんの少しだけ春の夜の空気が移っているような気がしました。季節が確実に進んでいく気配を、こんな足元のささやかな景色の中に見つけるのも、心安らぐものです。
