ベランダの手すりに肘をついて、植木鉢の縁に指を這わせる。素焼きの表面がざらりとして、昨日の水やりの跡が白く残っている。土の匂いが朝の空気に混じる。
隣の鉢の葉っぱが、風もないのにかすかに揺れた。見ていると、葉の裏側に小さな虫が這っている。指先でそっと葉を持ち上げる。虫は慌てたように土の中へ消えていった。
土に触れる朝
しゃがみ込んで、鉢の中の土に人差し指を差し込む。第一関節まで沈んだところで、ひんやりとした湿り気を感じる。指を抜くと、爪の間に黒い土が入り込んでいた。
ペチュニアの記事を朝一番に見たのを思い出す。ニュアンスカラーという言葉が妙に頭に残っている。目の前の鉢には、まだ花は咲いていない。葉っぱだけが青々として、朝の光を受けて少し光っている。
鉢の重さを確かめて
両手で鉢を持ち上げてみる。思ったより軽い。水が足りないのかもしれない。鉢底から覗く根っこが、白く乾いているように見えた。
ベランダのコンクリートに膝をつく。ひんやりとした感触が、パジャマの生地越しに伝わってくる。如雨露を取りに立ち上がろうとして、もう一度鉢を見下ろす。
葉っぱの先端が、少し茶色くなりかけている。親指と人差し指でその部分をつまんで、ぽろりと取る。手のひらに残った葉のかけらを、風に任せて飛ばした。
