ハンズ渋谷店の灯りを見ながら

ハンズ渋谷店の閉店告知を見つめる夕暮れの風景

夕方の渋谷は、まだ人の流れが途切れない。街路樹の緑が濃くなり始めたばかりの5月末、空は曇っている。湿度がやや高く、肌にまとわりつくような空気だ。

シャッターに貼られた紙

ハンズ渋谷店のシャッターは半分ほど下りていた。入口脇のガラスに、閉店のお知らせが貼ってある。11月で営業を終えるという。1978年から48年、と書かれている。自分が生まれるずっと前からここにあった店だ。

立ち止まってその紙を読む。中はまだ明かりがついていて、商品棚の影が覗く。何度かここで文房具やキッチン用品を買った。店の奥にあった工具売り場で、ネジを探してもらったこともある。

思い出の厚み

「あと何ヶ月か」。そう思うと、また来たい気持ちと、もう来ない気持ちが同時に浮かぶ。何かを買いに来る理由は、特にない。ただ、その場所がなくなるという事実が、胸のどこかに引っかかっている。

通り過ぎる人の足音が、舗道に響く。誰もこの張り紙を見ていないように見える。自分だけが立ち止まって、時間を止めているような感覚になる。

閉店まであと半年弱。その間に、もう一度くらいは足を運ぶかもしれない。それも、今日みたいな曇りの夕方に。