揺れる緑の束を見つめる
ひとしきり息を吐いて、視線は目の前の草むらに留まる。風はなくとも、草の先端がかすかに揺れ、微かな音が耳の裏に届く。草の一枚一枚は朧げに重なり合い、光が透けて落ちる黒や緑の影が揺らめく。
手元の湿り気と土の匂い
しゃがみ込むと、膝が少し熱を帯びているのがわかる。手の甲で草の葉に触れると、うっすらと冷たい湿り気が伝わり、肌の表面がひんやりする。土の匂いが鼻をくすぐり、そのそこはかとない湿っぽさが深呼吸で心を押し戻す。
午後の静かな囲まれ感
背中を支える大地の感触と、遠くから聞こえるわずかな声と虫の羽音。すぐそこの緑は、揺れているのに動かない不思議な存在として胸の奥に沈み込む。そっと視線を下ろすたび、草のうねりは違った顔を見せ、そしてまた静かに戻っていく。
