部屋の片隅で、スマホの画面を眺めている。日が傾き始めた窓の外は、雲の切れ間からわずかに茜色が射している。今日は七月七日、七夕だ。
スマホの画面に映る夕暮れ
手にした端末の表面には、空の色が薄く映り込んでいる。アイコンの並びが、光の加減でぼやけて見える。その中に、先ほどダウンロードした短冊アプリがある。タップすると、背景に竹のイラストが浮かび上がる。夕暮れの灰色の光が、画面の白い領域を柔らかく照らしている。
願いを打ち込む指先
入力欄に文字を打ち込む。一文字ごとに、画面の明るさが少し変わる。指がガラスの上を滑るたび、表面の冷たさが指先に伝わる。打ち終えた文章は、黒い画面上の白い文字として並ぶ。この願いが、電子の形でどこかへ飛んでいくのか。木の葉の擦れる音が、遠くから聞こえてくる。
送信ボタンを押す。画面は一瞬暗くなり、次に七夕の画像が表示される。部屋の明かりはまだつけていない。窓の外の空は、さらに暗くなり始めている。
