灯りに照らされた布団の面影
薄いオレンジ色の灯りがふと目に入る。寝室のテーブルランプがともると、掛け布団のしわが影を伸ばし、ふわりとした枕の輪郭がぼんやり浮かぶ。手を伸ばせば届きそうな距離に置かれながらも誰も触れていない。カーテンの端は少し乱れていて、夜の空気が入り込む隙間を感じる。湿度の高いこの時季の夜らしい、しっとりした空気に体の一部が包まれる。
小さな物音と体の感覚
風が作り出すごく小さな音が遠くから聞こえる。窓の外からか、建物の隙間からか。目は灯りの近くの本のページのわずかな傾きに留まり、それを直そうとして手が動く。指先が触れた布団の柔らかさに思わず力が抜ける。まるでそこに沈み込むような感覚があった。足元のスリッパが少しずれており、直す動作は思ったよりもゆっくりで、身体の芯に刺さった小さな違和感に引き留められているようだった。
壁の温度と間接光の余韻
壁に近い場所の温度の違いが指に伝わる。冷たさのなかに、灯りの反射が幾分か温かみを与えていることを知らず識らず感じていた。天井の隅に映る影は微かに動きのように見え、目がそちらに引き寄せられる。口元は緩まず、まぶたは重いが灯りの近さが思考を締めつけているようで、眠りに落ちるまでの間のひとときはこんなにも長いのか、と体の感触がそれを教える。
