ベッドの縁に腰を下ろして
寝室の引き戸を開けると、昼間の熱気がまだ残っていた。スイッチに手を伸ばし、薄明かりをつける。オレンジ色の光がベッドサイドテーブルの上に広がり、読みかけの文庫本の背表紙を照らした。
ベッドの端に腰を下ろす。マットレスが沈み込む感触。右足から靴下を脱ぐ。くるぶしのあたりにゴムの跡がついている。指で軽くなぞると、へこんだ皮膚がゆっくりと元に戻っていった。
左足の靴下も脱ぐ。両方とも裏返しのまま、床に落とした。素足が床板に触れる。ひんやりとした感触が土踏まずから伝わってくる。足の指を開いたり閉じたりしてみる。関節がかすかに鳴った。
枕元の明かりと影
ベッドサイドの引き出しを開ける。充電器のコードが絡まっていた。指先でほどきながら、ケーブルの被覆についた小さな傷を見つける。いつついたものだろう。
枕を手に取り、一度叩いてから置き直す。掛け布団の端を持ち上げると、シーツに昨日の寝跡がうっすらと残っていた。手のひらでなでて、しわを伸ばす。
窓の外から、遠くで車が通る音が聞こえてきた。カーテンの隙間から、向かいの建物の明かりが漏れている。その光が天井に細い線を作っていた。
足裏に残る一日の重み
立ち上がって、窓際へ歩く。素足の裏に床板の継ぎ目を感じる。一歩ごとに、かかとから親指へと体重が移っていく。今日はずいぶん歩いたような気がする。
足の裏をもう一度床につける。冷たさはもうない。体温で温まった部分とまだ冷たい部分の境目を、足を少しずらして確かめる。
もう一度ベッドに戻り、今度は深く腰を下ろした。脱いだ靴下が床に転がっているのを見下ろす。明日の朝、また同じように履くのだろう。でも今は、この素足のままでいい。膝に手を置き、しばらくそのままでいた。
