青葉の間を抜ける光
昼下がりのベランダに立つと、濃くなり始めた緑が目に飛び込んでくる。手すりに置いた鉢植えの葉が、かすかに揺れている。風というほどではない、空気のゆらぎのようなものだ。
隣家の庭から漂ってくるのは、刈り取られたばかりの草の匂い。初夏特有の、青臭くて懐かしい香りが鼻をくすぐる。この季節になると、なぜか子供の頃の記憶が蘇ることがあるのは、あなたも同じだろうか。
風鈴の音を待ちながら
軒先に吊るした風鈴が、微動だにしない。金属の短冊が、ただ陽の光を反射しているだけだ。それでも、じっと待っていると、時折思い出したように小さく鳴る。チリン、という音が、静かな昼の時間に溶け込んでいく。
湯気の立つカップ
手にした麦茶のグラスが、指先にひんやりとした感触を伝える。氷が溶ける音が、静寂の中で際立って聞こえる。ベランダの床に落ちる影が、少しずつ角度を変えていくのを眺めながら、次の風を待つ。
こんな何もない時間こそが、実は一番贅沢なのかもしれない。青葉の向こうに見える空が、ゆっくりと午後の色に変わっていく。
