断面に宿る季節
窓の外がようやく白み始めた。うっすらと青みが残る空を眺めながら、昨夜見かけた色とりどりのサンドイッチの写真を思い浮かべる。断面の美しさに惹かれたのは、そこに積み重ねられた季節の重なりが、何層にもなって主張していたからかもしれない。食パンの白と野菜や果物の鮮やかな色彩が、まるで絵画のように並んでいる。
指先に触れる冷たさ
机の上に置いた冷たいグラスに指を這わせる。結露した水滴が指先を伝い、机に小さな円を描いていく。この冷たさだけが、今の私の体温と静かに均衡を保っているようだ。誰かのために丁寧に詰められた断面の調和は、眺めているだけで胸の奥にある澱みが少しだけ薄まるような気がする。ただそれだけのことが、今日の始まりには十分すぎるほど重みを持って感じられる。
窓辺の光と静寂
部屋の隅に影が長く伸びていく。あえて何かを言葉にせず、ただ淡々と朝の支度を進める指先の動きだけを意識する。トーストの香りが漂い始めたキッチンで、ふと空腹の気配に気づく。作り込まれた彩りには及ばないけれど、手元にあるありふれた食材を並べれば、それなりの朝は完成する。外の気配がわずかに騒がしくなってきた。少しずつ、今日という一日が輪郭を持って動き出そうとしている。結局、最後の一口までその味を確かめることはなく、ただ静かに窓の外の曇天を見つめている。
