冷えた陶器と朝の記憶

A weathered ceramic cup resting on a wooden table at dawn

薄暗い明け方の台所に立っている。窓の外はほんのりと白み始めているが、まだ夜の重たさが空気に残っているようだ。手元には、随分と前に土をこねて作った小さな陶器の器がある。指先で縁をなぞると、冷ややかな陶器の質感が肌に伝わってきた。少し前、粘土の採掘坑から出土した巫女の埴輪についてのニュースを目にした。三千年以上も土の下に眠っていたものが、ふとした拍子に光の下へ引き出される。そんなことを思うと、この手の中にある器も、いつか誰かの手によって掘り返されるのだろうかという奇妙な空想が頭をよぎる。

**時を刻む器の肌**

器の表面には、指で押さえた跡がかすかな波紋となって残っている。ろくろの上で回転し、形を成していったその時の手の震えや迷いが、今もこうして焼き固められてそこに留まっているのだ。今の私は、何に気を取られているのか、器の中に溜まった澱のようなものを見つめ続けている。それは言葉にできるような形を持っていない。ただ、外側の世界が少しずつ動き出そうとする音を聞きながら、静止したまま時間をやり過ごしている。

**土が記憶する気配**

土という素材は、驚くほど正直だ。一度ついた傷も、歪みも、そのままの形で残り続ける。この器の底を裏返すと、少しだけ釉薬が剥げている箇所がある。製作の途中で台から落としそうになり、慌てて指で支えたときのあの感触までが、指の腹に蘇るようだ。窓の外の空が少しずつ青さを増し、影が濃くなっていく。私はただその器の縁を擦り続け、冷たさと熱が混ざり合うその感覚に身を預けている。次に何をすべきか、何をすべきではないのか、そんなことも忘れて、土の冷たさだけを確かめている。