鉢土の朝の手触り
朝の光は白く、鉢の縁だけが少し濃く見える。鉢土の表面は乾いて見えても、指を入れるとすぐ下にわずかな湿りが残っていた。浅く掘ったところで粒がほどけ、指先に細かな土がつく。拭えば落ちるのに、爪の際だけは薄く残る。
葉先に残る重さ
葉先には昨夜の湿りが細く残り、落ちる前のかたちで止まっている。表はつやがあり、裏はそれよりひんやりしている。持ち上げると、水滴は移らず、先端で丸くふくらむだけだった。窓の外は曇りで、音も少ない。遠くの車の気配さえ、少し布越しに届くように鈍い。
土を起こす指
小石をひとつずらすと、下の層は思ったより柔らかい。乾いたふりをした土の奥に、昨夜の空気がまだ閉じ込められている。鉢の脇をたたくと、かすかな詰まり方で返事がある。水をやるには早く、何もしないには葉の先が気にかかる。指を引くたびに、手首の動きだけが少し遅れる。
朝のまま置いておく
急ぐ理由はないのに、両手はしばらく鉢のそばを離れなかった。土を均して、葉の重なりを直して、それからもう一度だけ表面を見る。白い空の下では、濡れた場所も乾いた場所も境目がゆるい。あなたが見ているのは、鉢ひとつの様子だけではなく、触れたあとの指のざらつきまでかもしれない。次の滴が来るまで、そこに立ったままの体だけが少し静かになっていた。
