葉裏の水玉
曇りの朝、植え込みの前でしゃがむと、葉の表より裏のほうが先に目に入る。光が薄いぶん、朝露は輪郭を強くして、葉脈のくぼみに小さく並んでいた。指を伸ばすと、触れる前から冷えが先に来る。爪先を地面につけたまま息を止めると、湿った土の匂いがかすかに立った。
濡れた葉脈を追う
ひとつひとつの粒は丸いまま留まり、少し大きいものだけが先へ移る支度をしている。葉を持ち上げると、裏にたまった水がすっと寄って、縁で細い線になった。靴の中で足指をわずかに動かすと、冷えが遅れて上がってくる。急ぐ理由はないのに、手だけが先に次の葉を探す。
薄い風の通り道
風は強くなく、細い茎をほんの少し傾けるだけだった。濡れた土の黒さはまだ浅く、乾ききらない表面に朝の時間が貼りついている。遠くの車の音が一度だけ低く抜けたが、すぐにまた静かになる。しゃがんだ姿勢のまま見続けると、朝露はただの水ではなく、触れないまま残される重さに見えてくる。
立ち上がる前に
裾についた湿りを払う手つきが少し遅れる。立ち上がる前のひと呼吸で、葉先の冷たさがまだ指先に残っていた。見上げた空は厚い雲のまま明るく、葉の裏の水玉だけが先に朝を抱えたままだった。
