夜の静けさに沈む家の影

夜の住宅の静かな室内、薄暗い照明に包まれたリビングの一角

傘を脱ぎ落としてからの間

玄関の前に薄く水滴が粒を作る。外の雨はまだ遠くでざわついている気配をときどき漏らしながら、室内の静寂をさらい取ってしまう。傘を置いた瞬間、肩から少しだけずれた重みを手のひらが探した。それだけで身体がしゃがみかけるのを堪えた。

小さな灯りの輪郭

電気をつけると、部屋の奥の影がゆっくりならされていく。小さな照明が呼吸をするように揺れて、人影の長さを畳に落とした。窓の外、濡れた植木鉢の緑が夜の空気の重さに隠れる。

揺れる手元と夜の時間

テーブルに置いた茶碗を包み込むように両手を寄せる。ひと呼吸、手の甲に当たる灯りの熱を頼りに、日中の喧騒のざらつきが指先から逃げていく。時計の秒針の音も聞きとれず、遠ざかっていく。冷えた空気の隙間に、ほんの少しの湿り気が影を伸ばす。

言葉にならないなにかが部屋とともに揺れ、どこかでこぼれたカップの縁に触れたものだけが小さな音を立てた。夜はまだ長く、誰かの寝息を待っているようだった。