窓辺の小さな休息
弱い雨が窓に細かなリズムを刻み、その音が薄く部屋の中まで忍び込んでくる。外気はひんやりと肌に触れ、湿度を伴いながらもひどく重くはない。そんなお昼どき、冷蔵庫から取り出したのは、ひとり用に小分けされたティラミスモンブランのケーキ。カップの珈琲も熱々とはいかず、どうやらこの湿った空気と同じくらいの温度に落ち着いていた。
甘さと苦味の隙間に
一口ごとに口の中で広がるのは、濃厚なチーズのまろやかさと、ほどよい珈琲のほろ苦さ。それがしっかり溶け合う合間を狙うように、舌の先が微かに敏感になり、甘さの余韻を確かめたくなる。食べるペースは意識せず、ゆるやかに。それでも時間は確実に流れていくのを、立ち上るラム酒の香りが教えてくれた。
行間を埋める静かな景色
横を見ると、雨に濡れた緑の葉が窓越しに揺れている。その先の空は一面の曇りで、しばらくは晴れ間を期待できそうにない。けれど部屋の中には、ほんのりとした甘い香りと温かみが漂っている。視線がケーキとカップの間を行き来すると、手元に何かを忘れているような気持ちが波紋のように広がった。ひとり静かに過ごすこんな午後は、ただ存在を受け入れるような時間にも思えた。
