曇り空のもとで見つけた花たち
昼前の商店街の一角、いつもは通り過ぎる花市場に急に足が止まった。鉢植えや切花が幾つも並び、淡い黄色や濃い紫が控えめに存在を主張する。湿り気はない曇り空が花の色を柔らかく沈めていた。手を伸ばしかけ、やめて視線を落とす。空気の重さが心の隙間に少し収まる。
ひと息つく瞬間の優しさ
人通りはまばらで、市場の店主が花の世話をしている。花の葉に近いところで、小さな虫が忙しなく動くのに気づく。急ぐ歩調がほんの少し緩む。指先が触れる前に摘み取りたかった草花を思い出しながら、そこで立ち尽くす時間は不意に長くなる。
