白いボトルを手に取る
洗濯機の蓋を開けたまま、棚から柔軟剤を取り出す。白いボトルの表面はつるりとしていて、指先が滑る。キャップを回すと、かすかにプラスチックの擦れる音がする。
液体を計量カップに注ぐ。透明な液体がとろりと落ちていく。鼻を近づけても、何の香りもしない。ただ、わずかに粘性のある液体がそこにあるだけだ。
洗濯機の投入口に流し込む。液体は音もなく吸い込まれていく。空になったカップを水道で軽くすすぐ。指についた柔軟剤のぬめりが、水と一緒に流れていく。
香りのない選択
ボトルのラベルをじっと見る。「香りの付かない」という文字が目に入る。以前使っていた柔軟剤の瓶が、洗面所の隅にまだ残っている。あれは花のような、果物のような、何かよくわからない香りがした。
洗濯機のスタートボタンを押す。水が勢いよく流れ込む音が響く。脱いだシャツの襟元を思い出す。汗の匂いも、外の空気の匂いも、全部そのままだった。何かで覆い隠されることなく、ただそこにあった。
窓から差し込む光が、洗濯機の白い表面を照らしている。埃が光の筋の中でゆらゆらと舞っている。
素材の手触り
乾いたタオルを畳む。繊維の一本一本が指に触れる。香りはない。でも、綿そのものの感触がある。太陽に干した後の、あの乾いた匂いもそのままだ。
洗濯物を取り込むとき、風が吹いた。シーツが大きくはためいて、顔に当たる。布地のさらさらとした音だけが耳に届く。
あなたも、何かを選ぶとき、何かを手放すとき、ふと立ち止まることがあるだろうか。白いボトルを棚に戻しながら、次の洗濯物のことを考える。
