空腹の夜、検査を待つ

薄暗いキッチンでコップの水を飲む手元

家の灯り

鍵を回す音が、いつもより大きく聞こえた。玄関の電灯をつけると、靴が一足だけ揃っている。今日は誰もいない。リビングの時計が夜の遅さを伝えているが、数字は見ない。

冷蔵庫の前で

習慣でキッチンへ向かい、冷蔵庫の取っ手に手をかける。そこで腕が止まった。中身を思い浮かべるまでもない。昨夜の残りの煮物。卵。ヨーグルト。どれも今夜は触れない。冷蔵庫のモーター音がやけに耳につく。手を引き、代わりに蛇口をひねる。水道水をグラスに一杯。喉を冷たい水が通っていく。空腹感が一瞬和らぐが、すぐにまた戻る。

横たわる時間

布団を敷く。枕に頭を乗せると、天井の染みが目に入る。場所も知っている染みだ。今夜は特に目でなぞってしまう。胃のあたりが軽く重い。食べていないのに重いのは変な話だ。明日のことを考えそうになるが、考えるとますます腹が減る気がする。目を閉じる。まぶたの裏に、今日見た曇り空が広がる。風呂にも入らずそのまま横になる。動かなければ、時間は過ぎる。知らないうちに眠れているかもしれない。そう願いながら、暗さに身を任せる。