雨の夜明け、バス停のベンチ
東京の雨の夜明け、バス停の屋根の下で足を止めた。ベンチの背に指先を当てると、金属が少し冷たくて、濡れている場所だけ表面がつるりとしている。手袋の甲を同じ点に押し当て、指の跡がすぐ消えるのを確かめた。
排気の音と、視界のにじみ
通りには車が一定の間隔で流れ、すぐ近くを通るたびに排気の低い音が短く跳ねた。道路側から雫が落ちる音も混ざり、屋根の端でリズムが変わる。信号はまだ控えめで、街路樹の葉先が雨粒を抱えたまま動かない。
この静かな待ち時間、次に来るバスを数えるのは音と動きだけで足りるのか。
